金川貿易保険コンサルタント

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カウントダウン表

漫画モデルケースで分かる動画セミナーの着目点

  • A. 保険対象範囲

    公的保険

    保険対象範囲は不払いのリスクに対して特定のバイヤーを絞り込むもの(個別系)、及び包括単位(企業単位、貨物単位、部門単位)により危険の分散を図るもの(包括系)があります。
    保険対象額は予め登録されたバイヤーに対して特約条件に適った輸出契約等からの輸出契約額です。

    (注)カウントダウン表の1段の最終列目(年間予想売上高)をご覧ください。

    ユーザンスと保険契約方式等により利用できる保険が異なっております。継続的取引では、ユーザンス180日以内の個別系の(a)限度額設定型貿易保険、(b)ユーザンス1年以内の簡易通知型包括保険、(c)ユーザンス2年未満の企業総合保険のいずれかです。

    そこでは、トップバイヤーの概念がなく、保険料は所定の保険料率算式(y=ax+b)において非常危険と信用危険の指数を入れることによって決まり、11社別の与信力等により支払限度額の専用枠に耐える確定保険料を導くところがあります。

    ①ユーザンスの制約(投票表1番)
    ユーザンスは個別系と包括系①&②が併存し輸出契約等で定められたユーザンスによる支払期日を中心としたものです。そこでは、個別系やオプション特約の包括系①の船前部分を除いて y=ax+b の保険料率算式でxをユーザンスとしたパラメーターです。

    ②保険対象額の制約(投票表2番)
    保険対象額は先行設定して貰った支払限度額(専用枠)をゴールとした年間予想売上高の範囲内で締結した輸出契約等の貨物代金額を保険価額とし、それから導いた保険金額(=保険価額×付保率)と当該支払限度額(専用枠)との2本の制約を受けます。そこでは、取引単位の「請求扱い」時点におけるてん補予定額は保険金額を限度額とします。それは継続的取引の保険以外でも適用されるものです。そして、複数「請求扱い」の場合にてん補予定額(累計額)は当該支払限度額(専用枠)の範囲内です。それは継続的取引の個別系、又は「希望扱い」の船前を含めた「包括系①」及び船前を除いた「包括系②」の保険だけに適用されるものです。

    ③取引先国の制約(投票表3番)
    取引先国がカントリーリスクの余波により「付保扱い」時点において割高の保険料率等の適用を受けることがあります。そこでは、国別カテゴリー表(AからHまでの8段階)の後順位にダウンした場合にその適用日をはじめその経過措置を点検しその範囲内で「付保扱い」を手配します。

    民的保険

    保険対象範囲は包括定義のもとで共通項を見出すものです。保険対象額は将来契約から予想売上高としてとらえます。

    (注)カウントダウン表の1段の最終列目(年間予想売上高)をご覧ください。

    具体的には、絞りこんだ対象バイヤー数は11社、総予想売上高は10億円、全体の予想契約数は33本です。

    通常、与信取引の一部でなく他の部署を含めて全部を目標とし、(a)事業活動の内容、(b)取引先国、(c)ユーザンスの長短、(d)大口バイヤー(トップバイヤーのこと)の与信力等をとらえるようにします。

    そこでは、トップバイヤーの与信力等により保険料の目安を導くとともに支払限度額の共通枠のもとで他の部署も含めるほかユーザンスの短い案件等を加えることにより保険料の低減を導くところがあります。(危険の分散化)

    ①ユーザンスの制約(投票表1番)
    ユーザンスは対象バイヤーの一番支払振りの遅い期間でもって最長決済期間として保険会社により設定して貰います。そこでは、最長決済期間は最大180日を前提とした延長可能期間(貨物代金額の支払期日から最長決済期間の満了日まで)を形成し、短い案件や少額の与信案件を包括対象に含め「易く」します。それはトップバイヤー由来とした支払限度額(共通枠)を支える貸倒リスクに係る「危険の分散」につながります。

    ②保険対象額の制約(投票表2番)
    保険対象債権は「承認された与信設定額」が有効である限り、バイヤーに商品を引渡した都度にてん補が自動開始し、通常四半期毎に保険対象債権に係る売上高を国別累計額とした事後報告です。その後は、「支払遅延扱い」時点ではじめて保険対象債権に係る総請求額-総回収額=正味債権等を明らかにします。そこでは、必要な書類や諸規定の順守条件のもとで損害原因別に支払遅延通知日や待機期間の終了日とした事故発生日(保険会社履行時点の出発点)の時点において各正味債権は与信設定額を限度額とします。

    ③取引先国の制約(投票表3番)
    取引先国がカントリーリスクの余波により期中において与信設定額が削減されることが想定できます。そこでは、保険会社履行時点までに支払遅延通知日を境にしてその前はセラーによる自主回収期間、その後は回収委任した債権回収会社による待機期間の終了日までにおける回収振りを当てにするようにします。そのときの正味債権は一律削減後の与信設定額と比較点検し、正味債権は一律削減後の与信設定額を限度額とします。

  • B. 予想売上高

    公的保険

    保険料計算の基礎額は予想売上高でなく、与信ビークから導く支払限度額(個別系)や取引都度の確定売上高にあたる輸出契約額(包括系)があります。保険対象額は目に見える輸出契約等から輸出契約額をとらえます。

    (注)カウントダウン表の2段(公的保険の場合)の3列目(各FOB価格)&4列目(各支払期日に「決済されるべき額」)をご覧ください。

    そこでは、保険対象額は輸出契約額で船積み前のFOB価格と船積み後の支払期日別の「決済されるべき額」です。それらが保険価額(「損失額の上限」)です。

    そして、その保険価額は付保率を乗じて保険金額(「支払い保険金の上限」)、保険料率を乗じて保険料(保険をかけるときの対価)をそれぞれ導きます。

    そこでは、33本の輸出契約等に対してその契約を締結した都度に保険契約を申込みし、確定保険料として支払うのは33回に及ぶところがあります。

    ①保険料計算の基礎額(投票表4番)
    保険料計算の基礎額は通常「損失額の上限額」=保険価額又は「支払保険金の上限額」=支払限度額(専用枠)のいずれかがあります。そこでは、保険価額は貨物代金額に即した確定データであって輸出契約額から転記されるものです。それは、継続的取引の保険以外にも適用されるものです。そして、支払限度額(専用枠)は所定の最高債権残高等から導いた「推定データ」でもって保険会社評価によるものです。それは、支払限度額の残枠内でその基礎額にする個別系、及び船後「包括系①」の支払限度額の半額、かつ、下限の1,000万円をその基礎額にする「希望扱い」の船前「包括系①」だけに適用されるものです。

    ②保険料の支払頻度(投票表5番)
    保険会社との保険料の支払頻度は輸出契約等別に「付保扱い」という「都度払い」のものと保険契約時点に「一括前払い」のいずれかがあります。その場合、「都度払い」では継続的取引の保険以外にも適用されるものです。しかし、「一括前払い」では支払限度額の残枠内でその基礎額にする個別系、及び船後「包括系①」の支払限度額の半額、かつ、下限の1,000万円をその基礎額にする「希望扱い」の船前「包括系①」だけに適用されるものです。それは保険会社との関与に伴う接触頻度もそのまま反映します。例えば「一括前払い」案件において先行設定して貰った支払限度額をゴールとした予想売上高と乖離した確定売上高になっても追加保険料の負担や戻し保険料の受取はそれぞれ「×扱い」です。

    ③保険対象額の開示方法(投票表6番)
    船後「包括系①」や船前&船後「包括系②」では「付保扱い」時点において輸出契約等の貨物代金額(船前でFOB価額、船後で前受金を除いた貨物代金額のこと)を保険価額として所定の帳票により全件開示(保険料計算等に備えるもの)します。また、個別系の自動成立案件や「希望扱い」の船前包括系①の遡求成立案件では「事故扱い」時点において同様に所定の帳票により個別開示(損失防止軽減義務の履行等に備えるもの)します。

    民的保険

    保険料計算の基礎額は予想売上高であって、対象バイヤーの累計額です。保険対象額は将来契約から予想売上高をとらえます。

    (注)カウントダウン表の1段の最終列目(年間予想売上高)をご覧ください。

    そこでは、予想売上高でもって予想保険料が分かります。予想売上高の10億円に保険料率を乗じて予想保険料を算出し、通常80%相当額を最低保険料(保険契約の締結要件になるもの)とします。それをX年7年1日(保険期間の始期)の前日(X年6年30日)までに着金することによって保険契約を締結します。

    損害保険は保険契約の締結前に保険料を支払うという前納主義です。それは予想売上高10億円という推定データに基づいております。保険対象額を明らかにするのは売上高に基づく「取引実績報告」です。

    それは保険会社により四半期に1度報告したり、又は6月に1度報告したりして期末後になってはじめて確定売上高⇒確定保険料を導きます。その後、その確定保険料は前払いした最低保険料と精算します。それは33本の売買契約に対して保険料の2回払い(前払い時と精算時)になるところがあります。

    ①保険料計算の基礎額(投票表4番)
    保険料計算の基礎額は保険をかけるときの最低保険料計算に関して(イ)年間予想売上高とし、期末後の確定保険料計算に関して例えば四半期毎の売上高実績報告による(ロ)年間確定売上高という2本があります。そこでは、精算付き2回払いにすることにより輸出契約等に係る貨物代金額の全額に即した保険料計算にできます。

    ②保険料の支払頻度(投票表5番)
    保険会社との保険料の支払頻度は「精算払い付2回払い」です。先ずは保険契約締結時までに予想売上高×保険料率=予想保険料とした標準80%相当額を最低保険料にする「前払い」です。次の20%分は期末後における確定売上高による「精算払い」です。例えば、確定売上高がはっきりした場合に追加保険料の負担は「〇扱い」です。(「精算扱い」のこと)しかし、保険料の過払いに伴う「戻し保険料」の受取は「×扱い」です。

    ③保険対象額の開示方法(投票表6番)
    保険対象債権はてん補の自動開始後の「売上高実績報告書」時点において国別累計額とした全件開示(保険料の「精算払い」に使うもの)するほか、「支払遅延扱い」時点において請求書単位別に個別開示(回収委任の債権回収会社による債権回収等に備えるもの)します。

  • C. 与信のピーク

    公的保険

    与信のピークは「損失額の上限」を導くものではありません。それは、てん補率を乗じて「支払い保険金の上限」を導くものです。「損失額の上限」は輸出契約等から導いた「保険価額」とし船積み後の場合に契約元本+契約利息に係る「決済されるべき額」を対象にします。(延滞利息は対象外)

    (注)カウントダウン表の2段(公的保険の場合)の3列目(船前の保険価額)&4列目(船後の保険価額)をご覧ください。

    そこでは、包括系に対して輸出契約額からのFOB金額や支払期日の「決済されるべき額」、船積日や予定支払期日からユーザンス等を保険申込書等に転記し、保険価額から船前保険期間&船後保険期間等により保険料計算まで導くところがあります。(取引都度の申込み)また、個別系に対して与信のピークから導いた「支払限度額」は保険料計算の基礎額のもとで一括年払いするものがあります。

    ①与信のピークの役割(投票表7番)
    例えば、与信のピークはバイヤー別に過去の輸出実績額(特約締結予定日等から17月前の12月分)からとらえた(a)最高債権残高や未船積の契約残を含めた(b)最高契約残高等を希望額とし、 「当該バイヤー専用」の支払限度額に備えます。
    (注)所定期間にわたる輸出実績額が「有る」場合は例えば輸出実績額に平均ユーザンス(分子:金額で重みをつけた加重平均値)と正味ユーザンス(分母:ダブりを除いたもの)による残高の想定です。

    ②与信枠の準備段階(投票表8番)
    先ずは所定の海外商社名簿において対象バイヤーに係る登録の有無を点検し、未登録の場合は海外商社登録(名称、住所、国名、付番、格付)するために信用調査を実施し、信用調査報告書をセラーの勘定で手配するほか、バイヤー別に最近の輸出実績額(特約締結予定日等の17月前から12月分)から与信のピークをとらえます。
    (注)所定期間にわたる輸出実績額が「有る」場合は例えば輸出実績額に平均ユーザンス(分子:金額で重みをつけた加重平均値)と正味ユーザンス(分母;ダブりを除いたもの)による残高の想定です。

    ③債権残高に係るユーザンスのとらえ方(投票表9番)
    ユーザンスは通常バイヤー別に保険をかける場合に所定の輸出実績期間(特約締結予定日等から17月前の12月分)の輸出実績額から最高債権残高等を算定するときにとらえるものです。それは通常輸出契約等の支払条件で示されたものでそのユーザンスの終点が支払期日です。
    (注)支払期日は事故発生日のもとで船後損失等発生通知期限(=支払期日+45日)や「単なる資金ショートの場合」の保険金請求可能日(=「支払期日+3月」)の各起点です。

    民的保険

    与信のピークは「損失額の上限」=与信設定額を導くものです。「損失額の上限」は与信のピークから導いた与信設定額(=クレジットリミット)とし、保険会社により設定して貰うものです。(延滞利息は不てん補債権)

    (注)カウントダウン表の1段の3列目(最高債権残高)をご覧ください。

    そこでは、年間の予想売上高を10億円にする場合にその10億円を11社別に33本の将来契約に分解し、与信のピークをとらえます。それは保険会社に対して質問書(事実上の保険料の見積依頼書)により与信設定額として申請します。

    そして、保険会社はそれに基づいて信用調査を実施します。その後、保険会社は信用調査機関から直接入手した「信用調査報告書」の「最新の財務データ」により(a)「満額回答」、(b)「一部承諾」、(c)「拒絶」のいずれかでもって設定します。

    もしもバイヤーからの「最新の財務データ」不足により(b)や(c)に設定されたことが分かりますと、バイヤーとの長年のリレーション関係を「拠り所」にしてそれを入手し保険会社に提供するところがあります。

    ①与信のピークの役割(投票表7番)
    与信のピークはバイヤー別に前年度の会計データから参照した債権残高を想定し、それに付随費用を含めた最高債権残等から見積もります。そこでは、「回収費用の上限額」(約835,000円)や「最長請求期間の見合う額」(引渡日から40日分)を加えると共に、オプション特約による「製造費用の上限額」(商品の対価分)や「購入費用とした前払金の上限額」(売買契約額の40%以内)を含めた額です。それはバイヤー別の与信設定額に備えるほか、トップバイヤーに対して設定して貰った与信設定額から「全バイヤー用の共通枠」の支払限度額を導くものです。

    ②与信設定額の準備段階(投票表8番)
    先ずは保険料の見積り依頼を兼ねた質問書の回答とした対象バイヤー別に前年度分を備えた(a)予想売上高<バイヤー別予想売上高に希望与信額/30日超の支払遅延額/名称/住所/国名/TEL/FAX等>、(b)最高債権残高<①~⑨の階層別にふるい分けしたバイヤー数/最高債権残高累計の割合の最高債権残高表>、(c)ユーザンス<国別「標準決済期間の通常と最長」>等を保険会社に提供します。その後は保険会社がデータベースで検索し該当する案件が「無い」ときは信用調査報告書を保険会社の勘定で手配します。

    ③債権残高に係るユーザンスのとらえ方(投票表9番)
    ユーザンスは複数バイヤー(少なくとも10 社以上)に保険をかけるときの帳票(保険料の見積り依頼を兼ねた質問書)においてセラーが提供する保険対象年度の予想売上高の国別内訳を明らかにする国別標準決済期間の「通常」と「最長」の日数の回答としてとらえるものです。それは請求日を起点とした最長決済期間に備えます。 (注)請求日は「単なる資金ショートの場合」に保険会社に設定して貰った最長決済期間による支払遅延通知日(「請求日+最長決済期間+30 日=支払遅延通知期限」内)や所定の要件(必要書類の提出や諸規定の順守条件)のもとでその事故発生日(支払遅延通知日の延長線上にある待機期間の終了日)の各始点です。

  • D. トップバイヤー

    公的保険

    トップバイヤーは特別の概念を持つものではありません。他のバイヤーと同様に所定の「海外商社名簿」での登録の有無を点検するほか、未登録のときは信用調査報告書を取得し、継続的取引に対する保険をかけるときは「支払い保険金の上限」=支払限度額を保険会社により設定して貰うものです。支払限度額はバイヤー別に通常過去の輸出実績等から専用枠を導きます。

    (注)カウントダウン表の2段(公的保険の場合)の最終列下段(支払限度額)をご覧ください。

    そこでは、限度額設定型貿易保険に対して最高契約残高×90%=希望額、船積み後の簡易通知型包括保険&企業総合保険に対して最高債権残高等×90%=希望額、船積み前の簡易通知型包括保険に対して船積み後の支払限度額×50%=希望額(1000万円の下限)です。

    それらはバイヤー別支払限度額の専用枠を意味します。例えば、トップバイヤーの希望額の設定に際してはX年7月1日付けで包括特約等を締結する場合はそのX年7月1日の17月前から12月間分の輸出実績に基づいて与信のピーク(最高債権残高等)をとらえます。

    そして、取引単位での支払限度額は保険価額にてん補率を乗じて算定した保険金額にあたるものです。

    ①トップバイヤーの役割(投票表10番)

    先ずはトップバイヤーと言っても他のバイヤーと同様に最高債権残高等から導いて保険会社により専用枠の支払限度額を設定して貰います。それは同一バイヤーだけに係る支払い保険金の期待値等に影響を与えるものです。

    ②大口バイヤーの出現(投票表11番)

    セラーは単なるバイヤーとして所定の海外商社名簿に追加するものです。そこでは、セラーは海外商社名簿での登録の有無を点検し、その登録が「無い」ときは信用調査報告書を入手し、過去の輸出実績額(特約締結予定日等から17月前の12月分)から最高債権残高等をとらえた希望額でもって支払限度額の申請に備えます。   (注)所定期間にわたる輸出実績額が「有る」場合は例えば輸出実績額に平均ユーザンス(分子:金額で重みをつけた加重平均値)と正味ユーザンス(分母;ダブりを除いたもの)による残高の想定です。

    ③トップバイヤーの事故対応(投票表12番)

    先ずは他のバイヤーと同様にてん補危険(非常危険・信用危険)、かつ、てん補範囲(船前事故・船後事故)別に事実確認です。そこでは、他のバイヤーとの「重なり案件」を意識することがありません。それは輸出契約等別⇒船積別⇒支払期日別に「事故扱い」から「請求扱い」までの手配です。その後は回収主体者を保険会社にシフトし、かつ、保険会社の回収方策の指示に基づいた回収行為です。その場合、バイヤーの経営良化を導いた全額回収とした「回収金納付扱い」までたどるときは最大の事故対応です。

    民的保険

    トップバイヤーは包括系の保険契約の枠組みの1つであり、その与信力等により支払限度額を保険会社により設定して貰うものです。支払限度額はバイヤー別でなく特定のバイヤー(トップバイヤーの与信設定額等)から共通枠を導きます。

    (注)カウントダウン表の3段(民的保険の場合)の最終列下段をご覧ください。

    そこでは、トップバイヤーが保険事故になったときに支払い保険金の期待値(1億円×90%=9000万円)として支払限度額を想定します。

    その支払限度額はトップバイヤーだけのものでなく、他10社を含めた共通枠(第2グループでは3000万円×90%=2700万円や第3グループでは1000万円×90%=900万円をそれぞれ想定しないもの)です。

    通常、トップバイヤーは他10社分の支払限度額の共通枠という包括契約の枠組みを構成するものですからそれに相応しく、比較的に与信力があるバイヤーを選ぶところがあります。

    ①トップバイヤーの役割(投票表10番)

    先ずはトップバイヤーに係る前年度の会計データから参照した債権残高を想定し、それに付随費用等を加えた最高債権残高等をとらえます。それは未収債権の上限額を中心にした所定の「回収費用の上限額」(835,000円)のほか、「最長請求期間の見合う額」(引渡日から40日分)を加えると共に、オプション特約による「製造費用の上限額」(商品の対価分)や「購入費用とした前払金の上限額」(売買契約額の40%以内)」を含めた額を希望額とします。次はその希望額から与信設定額を設定して貰います。その後はその与信設定額×縮小てん補率=全バイヤー用に係る共通枠の支払限度額を設定して貰います。それは全バイヤー用に係る支払い保険金の期待値等に影響を与えるものです。

    ②大口バイヤーの出現(投票表11番)

    セラーは単にバイヤーの追加でなく包括保険の枠組みを変更する異動承認申請の手配です。その帳票は異動承認申請書であり、別途当該バイヤーの前年度に基づいた(a)予想売上高<バイヤー別予想売上高に希望与信額/30日超の支払遅延額/名称/住所/国名/TEL/FAX等>、(b)最高債権残高<①~⑨の階層別にふるい分けしたバイヤー数/最高債権残高累計の割合の最高債権残高表>、(c)ユーザンス<国別「標準決済期間の通常と最長>等のデータを保険会社に提供し、追加保険料の負担も視野に入れることもあります。

    ③トップバイヤーの事故対応(投票表12番)

    先ずは例えば本HP(https://金川貿易保険.com)のカウントダウン試行表のシミュレーションによる他のバイヤーとの「重なり案件」をとらえます。そのときは通常「請求日+最長決済期間+30日=支払遅延通知期限」までに所定の5節目(事前連絡日/支払期日/支払期日+60日/不払いと見なす日/支払遅延通知期限)毎にプレッシャーを与えると共に、他の「重なり案件」をクリアします。その場合、「支払遅延扱い」時点から回収委任した債権回収会社の「回収措置や可能な場合の法的措置」の実施による「損失額の圧縮」や「全額回収」とした「入金通知扱い」までたどるときは最大の事故対応です。

  • E. 「事故扱い」のタイミング

    公的保険

    通常、「事故扱い」は支払期日から最大 45 日 以内です。それは 40 年来のシニセ先でも一見先でも同様です。

    しかし、非常危険や対象バイヤーの破産手続開始の決定の場合は事情発生通知書を15日以内、損失発生通知書を支払期日後にそれぞれ通知し、保険金の請求に臨むことがあります。また、船積み前事故のときは船積みができなくなったことが明らかになった日(事故事由で異なるもの)から45日以内です。(事故発生日から45日以内)

    そこでは、船積日からの日数を想定しますと、ユーザンス別に異なるところがあります。例えば、トップバイヤーは最大178日、第2グループは145日、第3グループは115日です。

    (注)カウントダウン表の2段(公的保険の場合)の2列目の「事故扱い」とした(各支払期日+最大45日以内:①XX年3月16日、4月13日、5月14日、6月13日とした逐次通知のもの、②XX年4月13日、5月14日、6月13日とした逐次通知のもの、③XX年5月14日、6月13日とした逐次通知のもの)をご覧ください。

    そこでは、自主回収期間(支払期日から「事故扱い」までの日数のこと)に対してユーザンスの長短に関係なく最大45日以内になるところがあります。

    ①「事故扱い」のタイミング(投票表13番)
    船前リスクでは事故事由が発生した場合に事故発生日から最大45日までに船前損失発生通知書の提出です。そのときの事故発生日は、例えば非常危険事由別に①「禁止措置実施日」のほか、予定船積日を境としたその船積前にバイヤーからキャンセルを受領したときは②「契約破棄通知発信日」とし、その予定船積後にキャンセル通知や「船積の著しい困難な場合」になったときは③「船積日」を想定した「船積できないことを明らかにする日」です。また、船後リスクでは事故事由が発生した場合に支払期日から最大45日までに船後損失等発生通知書の提出です。(破産手続を除く)

    ②倒産状態に係る「事故扱い」のタイミング(投票表14番)
    船前リスクでは「破産手続開始の決定の宣告を受けた日」(=事故発生日、事故確定日)から45日以内に通知する「船前損失発生通知書」です。但し、「希望扱い」の船前包括系①は自動成立案件の個別系と異なった「確定前通知書」により輸出契約等締結日までの遡求成立案件にした後の手配です。また、船後リスクでは「破産手続開始の決定」の事実を知ったときは支払期日後であれば直ちに「事故扱い」です。支払期日前はその事実を知った日から15日以内の「事情発生通知書」及び支払期日での「船後損失等発生通知書」という2本の帳票の提出です。

    ③損失発生額のとらえ方(投票表15番)
    船前リスクでは保険価額の貨物 FOB 価額-船積価額=未船積価額です。
    (注)船前「事故発生日」とは、例えば非常危険事由別に①「禁止措置実施日」のほか、予定船積日を境としたその船積前にバイヤーからキャンセルを受領したときは②「契約破棄通知発信日」後にキャンセル通知や「船積の著しい困難な場合」になったときは③「船積日」を想定した「船積できないことを明らかにする日」として判別するものです。
    また、船後リスクでは保険価額の前受金を除いた貨物代金額-(決済金額+遅延利息を除いた回収金額)=未回収額です。

    民的保険

    通常、「事故扱い」は最長決済期間から最大30日以内です。その最長決済期間というのは11社のバイヤーのうち請求日から一番遅い日に合わせた期間とし、最大の180日に張り付けることがあります。そこでは、請求日(船積日)から最大180日+最大30日以内=最大210日にあたります。

    しかし、対象バイヤー等の倒産の場合は信用悪化情報を直ちに通知し、セラーは支払遅延通知書や法的倒産に陥ったときは当該確認書類を直ちに提出し、その日から30日後に保険金の請求に臨むことがあります。また、積出し前事故のときはその損害の原因(①倒産状態、②契約履行の不当な中断、③追加特約のもとで政治的危険又は自然災害)が生じた日から10日以内です。(事故事由発生日から10日以内)

    (注)カウントダウン表の3段(民的保険の場合)の4列目の「事故扱い」とした(請求日+最長決済期間+最大30日以内:①XX年4月16日<4本分の未収債権とした一括通知のもの>、②XX年6月16日予定:3日前の全額回収により「事故扱い」が免れたもの、③XX年8月16日<2本分の未収債権とした一括通知のもの>)は公的保険の該当部分と比べてください。

    そこでは、「事故扱い」は公的保険とのズレに対してトップバイヤーで1月(XX年3月16日⇒XX年4月16日)、第2グループで2月(XX年4月13日⇒XX年6月16日予定)、第3グループで3月(XX年5月14日⇒XX年8月16日)があります。そういうズレにはセラーによる自主回収が期待できます。

    例えば、第2グループではXX年6月16日予定の「事故扱い」を節目としてバイヤーに強力に督促のプレッシャーをかけており、それが功を奏し、その3日前(XX年6月13日)に未収債権全額(3000万円)を回収します。

    それは、最長決済期間をテコとした支払遅延通知期限の繰り下げにより継続的取引の保障を支えるところがあります。

    ①「事故扱い」のタイミング(投票表13番)
    積出し前リスク(オプション特約)ではてん補事由が発生した場合にその該当日から最大10日までに、かつ、積出し後リスクではてん補事由が発生した場合に通常「請求日+最長決済期間+30日=支払遅延通知期限」内までにそれぞれ支払遅延通知書の提出です。そこでは、倒産状態(政治的危険/自然災害)でない限り、所定の支払遅延通知日の延長線上にある待機期間中において保険会社からの依頼に応じた回収委任の債権回収会社に提出する「債権及び担保の証明書」等は待機期間終了日=事故発生日の要件にする事前提出です。

    ②倒産状態に係る「事故扱い」のタイミング(投票表14番)
    積出し前リスク(オプション特約)では「倒産状態が生じた日」から最大10日までに「損失額」に係る保険会社との合意書等、かつ、積出し後リスクでは「請求日+最長決済期間+30日=支払遅延通知期限」又は「倒産状態を知った日」から30日以内のいずれか早い日までに「倒産状態の証明書及び債権の届出書」等をそれぞれ視野に入れた「支払遅延通知書」の提出です。そこでは、倒産状態の証拠書類等を点検し、諸規定を順守しながら支払遅延通知日=事故発生日のもとで必要書類の同時提出を目指すものです。

    ③損失発生額のとらえ方(投票表15番)
    積出し前リスク(オプション特約)では製造費用に関して費用項目(原価費用+中断費用+売買費用)-収入項目(転売益+売却益+完成品・仕掛品・原材料の再利用価値等) =正味費用です。
    (注)積出し前リスク(オプション特約)の事故発生日とは、倒産状態の場合(政治的危険&自然災害を含む)にその倒産状態が生じた日から10日以内に損害を被った事実を通知した「支払遅延通知日」とし、それ以外の「履行の不当な中断」の場合にその日から同様に10日以内に通知した支払遅延通知日の延長線上の待機期間の終了日とし、そのときの要件はセラーに「有利な確定判決」を前提にするほか、必要書類の提出と諸規定の順守を条件にしたもの。
    また、積出し後リスクでは同様に債権の総請求額-総回収額=正味債権です。

  • F. 「請求扱い」のタイミング

    公的保険

    「請求扱い」は船積別の各支払期日から3月後です。(請求期間は破産手続の開始決定に対して支払期日から9月間又は保険金請求可能日から6月間)

    その場合、セラーは「請求扱い」時の保険会社にバイヤーに対する権利行使等を委託した場合にそれが功を奏し、9月10日付けで2500万円の貨物代金に係る回収金につながるわけです。

    (注)カウントダウン表の2段(公的保険の場合)の最終列目(保険金請求可能日)をご覧ください。

    そこでは、複数の取引額を未収債権として一括請求するものでなく、各支払期日に保険金請求可能日が到来しているものについて逐次請求するものですが、単に請求日だけでもって統一することがあります。

    例えば、トップバイヤーの場合は4本(XX年4月30日、5月28日、6月30日、7月30日)もありますが、参照形式のもとで最終案件(XX年7月30日)と一緒に請求するところがあります。(保険金請求時の損失額)

    ①「請求扱い」のタイミング(投票表16番)
    船前リスクでは事故原因別に判別した特定日を事故確定日とし、その日から9月以内に所定の一覧表に記載された必要書類を含めた保険金請求書を備えます。そのときの船前「事故確定日」は、例えば非常危険事由別に①禁止措置実施日のほか、予定船積日の前後ともバイヤーからの②「契約破棄通知発信日」とし、それが無いまま「船積の著しい困難な場合」は③「船積日+2月」(為替措置/輸入措置/戦争等/輸送途絶の特定4事由)又は④「船積日+保険会社で定めた期間」(特定以外の事由)の各該当日として判別するものです。
    また、船後リスクでは例えば「単なる資金ショートの場合」に「支払期日+3 月」を事故確定日としてその日から6月以内に船前リスクと同様に備えます。その保険金請求書が保険会社により受理して貰いますと保険会社履行時点の出発点です。

    ②倒産状態に係る「請求扱い」のタイミング(投票表17番)
    船前リスクでは裁判所等からの「破産手続開始の決定の宣告を受けた日」を事故確定日とし、その日から9月以内に所定の一覧表に記載された必要書類を含めた保険金請求書を備えます。また、船後リスクでは「倒産状態を知った日」から45日以内に船後損失等発生通知書の提出のもとで支払期日から9月以内に船前リスクと同様の手配です。但し、その倒産状態が支払期日前のときはそれを知った日から15日以内の事情発生通知書の先行提出です。更に、支払期日前の期前請求を希望するときは予め損失発生確認申請の手配です。そこでは、船積の前後とも保険金請求書が保険会社により受理して貰いますと保険会社履行時点の出発点です。

    ③損失額のとらえ方(投票表18番)
    船前リスクでは保険価額(貨物FOB価額)-(正味の転売価額+期待利益+未支出費用等)=実損額です。

    (注)船前「事故確定日」とは、例えば非常危険事由別に①禁止措置実施日のほか、予定船積日の前後ともバイヤーからの②「契約破棄通知発信日」とし、それが無いまま「船積の著しい困難な場合」は③「船積日+2月」(為替措置/輸入措置/戦争等/輸送途絶の特定4事由)又は④「船積日+保険会社で定めた期間」(特定以外の事由)の各該当日として判別するもの。

    また、船後リスクでは保険価額の前受金を除いた貨物代金額-(決済金額+遅延利息を除いた回収金額)=損失額です。

    民的保険

    「請求扱い」は請求日+最長決済期間+最大30日以内+(待機期間標準150日)後であって、船積み後最大360日です。

    その場合、セラーは「請求扱い」に先だって「事故扱い」時に債権回収会社に債権回収を委任しなければなりません。それが功を奏し損失額の半額までの圧縮を確認した後、「請求扱い」に臨むわけです。

    (注)カウントダウン表の3段(民的保険の場合)の最終列目(保険金請求可能日)は公的保険の該当部分と比べてください。

    そこでは、「請求扱い」は公的保険との最短ズレ<トップバイヤーで2月(XX年7月30日 ⇒ XX年9月13日)、第 2グループで4月(XX年7月30日⇒XX年11月13日予定)、第3グループで6月(XX年7月30日⇒XXX年1月13日予定)>があります。

    例えば、第3グループでは初年度の未収債権が2年度目に繰り下がった後、XXX年1月13日予定の「請求扱い」の3日前(XXX年1月10日)に未収債権(1000万円)を全額回収とします。(保険金支払い時の損失額)

    それは、最長決済期間をテコとした保険金請求可能日の繰り下げにより支払限度額の共通枠を支えるところがあります。

    ①「請求扱い」のタイミング(投票表16番)
    積出し前リスク(オプション特約)では例えば「履行の不当な中断」事由とした支払遅延通知日後の待機期間中においてセラーに「有利な確定判決」等による「損害額に係る保険会社との合意書」等、かつ、積出し後リスクでは例えば「単なる資金ショート 」事由とした支払遅延通知日後の待機期間中において保険会社からの依頼に応じた回収委任の債権回収会社に提出する「債権及び担保の証明書」等は待機期間終了日=事故発生日の要件にする事前提出です。そこでは、諸規定を順守しながらバイヤーからの回収がないときは保険会社履行時点の出発点です。

    ②倒産状態に係る「請求扱い」のタイミング(投票表17番)
    積出し前リスク(オプション特約)では「倒産状態が生じた日」(例えば裁判所がバイヤーに対して清算又は解散の命令を下した日)から最大10日までに「損失額」に係る保険会社との合意書等、かつ、積出し後リスクでは「請求日+最長決済期間+30日=支払遅延通知期限」又は「倒産状態を知った日」から30日以内のいずれか早い日までに「倒産状態の証明書及び債権の届出書」等はそれぞれ視野に入れる「支払遅延通知書」の提出です。そこでは、倒産状態の証拠書類等を点検し、諸規定を順守しながら必要書類の同時提出を目指した支払遅延通知日=事故発生日です。それは同時に保険会社履行時点の出発点です。 (注)「倒産状態が生じた日」とは、例えば裁判所による①清算、②解散の命令を下した日、バイヤーによる③正当な譲渡、④和解⑤それらに類似する一般的に債権者の利益となる処置を行った日、バイヤーの債務について⑥全ての債権者を法的に拘束する示談または取決めを債権者が受け入れた日です。

    ③損失額のとらえ方(投票表18番)
    積出し前リスク(オプション特約)は事故発生日における製造費用に関して費用項目(原価費用+中断費用+売買費用)から収入項目(転売益+売買益+再利用価値等)を差し引いた正味費用です。また、積出し後リスクでは総請求額から総回収額を差し引いた正味債権です。

    (注)費用項目とは、①売買契約の履行に必要な「原価費用」、②売買契約の中断の場合に履行を想定されていたならば必要であることが明白に判断される「中断費用」、③適切な原価計算原則に基づいて正当化される費用で人件費及び未出荷の注文書に係る積出し前「売買費用」です。また、収入項目とは、④事故商品の「転売益」、⑤担保を実行したときの「売買益」、⑥完成品、仕掛品、原料に係る「再利用価値」等です。

トップバイヤーのカウントダウン表

保険期間(X年7月1日~XX年6月30日)

①トップバイヤー:1億円の与信バイヤー(シンガポールの代理店)
契約締結日 支払条件 最高債権残高(最高契約残高) 船積日 支払期日 年間予想売上高
X年7月20日 月末締め4月後払い 1億円(1億2500万円) X年9月20日、X年10月20日、 X年11月20日、X年12月20日 (イ)XX年1月31日①、(ロ)XX年2月28日、(ハ)XX年3月31日、(ニ)XX年4月30日 1億円(=2500万円×4本)×3回=3億円
公的保険の場合 各支払期日+最大45日以内 (損失等発生通知期限) 各FOB価格=船前の保険価額 (損失額の上限) 各支払期日に「決済されるべき額」=船後の保険価額 (損失額の上限) 各支払期日+3月(保険金請求可能日)
XX年3月16日、4月13日、5月14日、6月13日 各2500万円 2375万円 2500万円 XX年4月30日、XX年5月28日、XX年6月30日、XX年7月30日 各2500万円(通常請求時に権利行使等を委任)
↓ 信用危険のかからない格付けへダウン
XX年9月10日に2本分の回収⇒回収金通知
(委任したサービサーが功を奏したもの)
各船前の信用保険金額 (支払い保険金の上限) 各船後の信用保険金額 (支払い保険金の上限) 支払限度額 (バイヤー単位)
2375万円×80%=1900万円 2500万円×90%=2250万円 (a)船前後の限度額設定型貿易保険 (1億円+2500万円)×90%=1億1250万円 (b)船前の簡易通知型包括保険 (c)(9000万円)×50%=4500万円(c)船後の簡易通知型包括保険及び企業総合保険 1億円×90%=9000万円
民的保険の場合 請求日(通常船積日=インボイス日) 請求日+最長決済期間 (不払いと見なす日) 請求日+最長決済期間+最大30日以内 (支払遅延通知期限) 支払遅延通知期限+標準150日(待機期間満了日) (保険金請求可能日)
X年9月20日 XX年3月18日② XX年4月16日(4本の未収債権分の債権回収を委任)1億円 XX年9月13日(2本の正味債権分) 総請求額1億円-総回収額5000万円=5000万円
民的保険の最高債権残高=与信設定額(損失額の上限) 延長可能期間
1億円 ①-②=47日 ↓与信設定額の撤回
XX年9月10日に半額回収による損失額の圧縮
(委任した債権回収会社が功を奏したもの)
支払限度額(セラー単位:11社分)
支払限度額(セラー単位) 5000万円×90%=4500万円(残枠)
1億円×90%=9000万円 正味債権5000万円を「請求扱い」へ
(注)支払期日(1月31日)+60日=3月31日(60日原則)
  • 1.損失額はどうなりますか

    (1)損失額の圧縮

    公的保険

    「事故扱い」は輸出契約等の支払期日に未回収額を明らかにしその支払期日から最大45日以内です。そこでは、少額免責基準額の概念は特にありません。

    (注)カウントダウン表のトップバイヤーに係る2段(公的保険の場合)の2列目の「事故扱い」とした(各支払期日+最大45日以内:①XX年3月16日、4月13日、5月14日、6月13日とした逐次通知のもの)、 又は 最終列目の「請求扱い」とした(保険金請求可能日:各支払期日+3月:①XX年4月30日、5月28日、6月30日、7月30日とした逐次請求のもの))&その下段の(信用危険のかからない格付けへダウン)をご覧ください。

    そこでは、XX年3月16日から6月13日にわたって4本の「事故扱い」とした後、「請求扱い」はXX年4月30日から7月30日にわたって逐次請求するか、又は最後の7月30日に合わせるかがあります。

    通常、損失等発生通知日と保険金請求時までに「保険会社にバイヤーに対する権利行使等を委任する日」までの回収主体者はセラーのままです。また、その委任は(a)通常「請求扱い」時ですが、(b)セラーからの依頼や(c)保険会社からの依頼により限りなく損失等発生通知日に繰り上げることがあります。

    その場合、所定の委任状では「セラーによる回収意向欄」でなく「サービサー回収の希望欄」を選ぶことにより、「事故扱い」後における債権回収としてサービサー回収を利用できる途があります。

    それが功を奏し、「請求扱い」後にXX年9月10日付けで2500万円の貨物代金2本に係る回収金になるところがあります。

    ①事故態様別の「事故扱い」(投票表19番)
    例えば、「単なる資金ショートの場合」では通常支払期日から最大 45 日です。また、「倒産状態の場合」では通常支払期日前のときはその日から 15 日以内の事情発生通知書+支払期日に船後損失等発生通知書の提出です。倒産状態では支払期日前の「請求扱い」に備えるときは損失発生確認申請書を手配します。

    ②「事故扱い」の通知態様(投票表20番)
    船前リスクでは事故発生日から45 日以内の逐次通知です。そこでは、事故原因別に①「禁止措置実施日」のほか、予定船積日を境にしたその前にバイヤーからキャンセルを受領したときは②「契約破棄通知発信日」とし、その予定船積後にキャンセル通知や「船積の著しい困難な場合」になったときは③「船積日」でもって判別し、その日から船前損失発生通知期限内の逐次通知です。また、船後リスクでは支払期日から45 日以内の逐次通知です。逐次対応では回収主体者を保険会社にシフトしない限りセラーは例えば支払期日別にその支払期日を起点とした他の債権と同様の注意でもって一切の合理的措置を実施します。

    ③回収主体者シフトのタイミング(投票表21番)
    回収主体者のシフトは通常「請求扱い」時点(保険会社やセラーの依頼により前倒しも可能)です。回収主体者は保険会社の回収方策として(a)従来通りのセラーと(b)サービサー(回収専門会社のこと)とのいずれかで対応します。

    民的保険

    「事故扱い」は最長決済期間の満了日に4本分の未収債権を明らかにし、その日から最大30日以内であって、少額免責基準額(標準5万円)を超えたときです。

    (注)カウントダウン表のトップバイヤーに係る3段(民的保険の場合)の4列目の「事故扱い」とした(請求日+最長決済期間+最大30日以内:①XX年4月16日<4本の未収債権とした一括通知のもの>)をご覧ください。

    具体的には、支払期日のXX年1月31日に対して請求日(X年9月20日)から180日をカウントダウンして求めた最長決済期間(XX年3月18日)をとらえた後、他の支払期日(XX年2月28日、3月31日、4月30日)を含めた未収債権の1億円について不払いの事実を明らかにし、「事故扱い」はその最長決済期間から最大30日以内(XX年4月16日)に一括通知します。

    その場合、4本分の未収債権の1億円に対して支払遅延通知書を提出した後は直ちに新約款により保険会社の管理下のもとで債権回収会社に債権回収を委任し、セラーの回収行為が債権回収会社に引き継がれます。(債権回収会社への委任義務)

    それは、トップバイヤーに対して支払い確保策にラチが明かない場合に債権回収会社の委任と連動する「事故扱い」を手配するものです。

    その後、待機期間(標準150日)の満了日の3日前(XX年9月10日)にバイヤーから半額の回収金(5000万円)を受領します。

    そこでは、「請求扱い」までに損失額の50%までの圧縮になるところがあります。

    ①事故態様別の「事故扱い」(投票表19番)
    積出し前リスク(オプション特約)では倒産状態が生じた日(例えば裁判所がバイヤーに対して清算又は解散の命令を下した日)やバイヤーから「履行の不当な中断」の通知日から10日以内に正味費用に係る「支払遅延扱い」です。また、積出し後では「単なる資金ショートの場合」に通常「請求日+最長決済期間+30日=支払遅延通知期限」(保険会社で定めた期間)内に通知し、「倒産状態の場合」にその「保険会社で定めた期間」又は「倒産状態を知った日」から30日以内のいずれか早い日までにそれぞれの正味債権に係る「支払遅延扱い」です。

    ②「事故扱い」の通知態様(投票表20番)
    積出し前リスク(オプション特約)ではてん補事由発生日+10日=支払遅延通知期限までに費用項目から収入項目を差し引いた正味費用の一括通知です。また、積出し後では「単なる資金ショートの場合」に「請求日+最長決済期間+30日=支払遅延通知期限」(保険会社で定めた期間)内に通知し、倒産状態の場合にその「保険会社で定めた期間」又は「倒産状態を知った日」から30日以内のいずれか早い日までに総請求額から総回収額を差し引いた正味債権の一括通知です。一括対応では回収委任する債権回収会社を通じて保険会社履行時点までに保険金請求権の発生防止を図ります。
    (注)費用項目とは、①売買契約の履行に必要な「原価費用」、②売買契約の中断の場合に履行を想定されていたならば必要であることが明白と判断される「中断費用」、③原価計算原則に基づいて正当化される費用で人件費及び未出荷の注文書に係る「売買費用」です。また、収入項目とは、④事故商品の「転売益」、⑤担保を実行したときの「売買益」、⑥完成品、仕掛品、原料に係る「再利用価値」等です。

    ③回収主体者シフトのタイミング(投票表21番)
    回収主体者のシフトは「支払遅延扱い」時点です。そこでは、回収委任を受けた債権回収会社は「回収措置や可能な場合の法的措置」の実施です。

  • 2.自主回収期間はどうなりますか?

    (1)与信力と延長可能期間

    公的保険

    自主回収期間は各支払期日から損失等発生通知書の提出日までを指します。それはどういう場合でも最大45日以内であって、40年来のシニセ先も一見先も同様です。

    (注)カウントダウン表のトップバイヤーに係る1段の5列目(支払期日)及び 2段(公的保険の場合)の2列目の「事故扱い」とした(各支払期日+最大45日以内:①XX年3月16日、4月13日、5月14日、6月13日とした逐次通知のもの)をご覧ください。

    具体的には、4本の支払期日別に不払いのときは、自主回収期間は(イ)1月31日~3月16日、(ロ)2月28日~4月13日、(ハ)3月31日~5月14日、及び(ニ)4月30日~6月13日のそれぞれ最大45日となり、横断的にとらえることは難しいものです。(債権保全義務)

    それは、トップバイヤーに対して途切れの最大45日ながらも1月31日~6月13日までの134日に及び、五月雨式の自主回収期間が4回にわたるものです。(第2グループで106日、第3グループで75日)

    そこでは、最初の支払期日の案件で「事故扱い」とするのはXX年3月16日ですから早めに継続的取引をストップ状態にします。

    通常、「事故扱い」から「請求扱い」時までは保険会社にバイヤーに対する権利行使等を委任しない限りはセラー側が回収主体者のままとなり、自主回収期間に連動することがあります。(損失防止軽減義務の履行が求められるもの)

    また、「請求扱い」するのは通常一番遅い案件と一緒に保険金を請求しようとし最後の案件(XX年7月30日)と同時に保険金請求書を提出することがあります。

    その後、保険金の支払い前のXX年9月10日付けで2500万円の貨物代金2本に係る回収金の受領になり、セラーは支払い保険金の着金を確認してから保険会社の帰属分について「回収扱い」とするところがあります。(保険金支払日から1月以内)

    ①自主回収期間の日数(投票表28番)
    自主回収期間は支払期日から最大 45 日です。それは支払期日から「事故扱い」までの期間であり、支払期日後の First unpaid 通知の事故態様により「事故扱い」の通知期限に張り付けたリ、又は直ちに手配したりすることがあります。

    ②自主回収期間に求められる義務(投票表29番)
    セラーに課される義務は通常保険契約締結時点から支払期日を節目とした損失等発生通知日までです。それに加わるのは事実上自主回収期間の延長線上にある「請求扱い」時点における回収主体者シフトまでも視野に入れるものです。例えば、 ①債権保全義務、②損失を受けるおそれのある告知義務、③他の保険契約の存在を知った時点/損失を受けるおそれが高まる事情発生時点/輸出契約等の変更時点に係る各通知義務、④指示や調査に応じる義務、⑤損失防止軽減義務等という各履行です。

    ③「事故扱い」の対応(投票表30番)
    自主回収期間の支払期日では First unpaid 通知によりバイヤーからの支払不能を判断したときは「事故扱い」とし、担保処分等という損失防止軽減義務等を履行します。そこでは、法的手続に要する費用負担が生じても、それはセラーが回収主体者を保険会社にシフトしていない限り、通常事前にその履行に先立って保険会社から認めて貰ってはじめて保険会社に費用負担申請に期待できます。

    民的保険

    自主回収期間は各支払期日から支払遅延通知書の提出日までを指します。その期間は最長決済期間の満了日を境にしてその前半は延長可能期間のもとでユーザンスに連動します。

    そして、その後半は最大30日以内とし、どういう相手先でも同様です。そこでは、最長決済期間の満了日でもって「不払いと見なす日」とします。

    (注)カウントダウン表のトップバイヤーに係る1段の5列目(支払期日:(イ)XX年1月31日①) 及び 3段(民的保険の場合)の3列目(不払いと見なす日XX年3月18日②)&その下段の延長可能期間(①-②=47日)をご覧ください。

    通常、自主回収期間はユーザンスが長く、かつ、与信額が大きい案件になると比較的短くなりがちです。(注意&事故防止義務の履行が求められるもの)

    例えば、トップバイヤーは延長可能期間47日+最大30日以内=最大77日以内であり、第2グループの最大110日以内や第3グループの最大140日以内と比べて短いものです。

    通常、支払遅延がある場合は①商品を確保する権利、②権利を保全する権利、③支払いを確保する権利を含めた債権に関するあらゆる権利行使が求められるものです。

    トップバイヤーでは、1億円の未収債権の全額に対して「事故扱い」を行い、新約款により保険会社の管理下のもとで債権回収会社に債権回収を委任し、ようやく半額5000万円の回収が功を奏しております。(xx年9月10日)

    そこでは、トップバイヤーとしてトータルロスを何とか免れることによって支払限度額の残枠(5000万円)を確保し他のバイヤーに備えるところがあります。

    ①自主回収期間の日数(投票表28番)
    自主回収期間は支払期日+延長可能期間(支払期日から最長決済期間の満了日まで)+最大 30 日です。そこでは、その延長可能期間は固定日数でなく支払条件に反比例した変動日数、例えば HP(https://金川貿易保険.com)のモデルケースにおいては月末締め 2 月後払いで 140 日、月末締め 3 月後払いで 110 日、又は月末締め 4 月後払いで 77 日もあったりしますからその長短別に何とかセラーの口座への着金を働かける期間です。

    ②自主回収期間に求められる義務(投票表29番)
    セラーに課されるのは通常与信設定額の設定時点から「支払遅延扱い」という回収主体者シフトまでです。例えば、①与信時の注意及び損失防止義務、 ②信用悪化情報を知った時点/支払遅延時点/支払遅延通知後の回収金受領時点の各通知義務、③報告期間中の売上高実績報告義務、④決済期間の延長時点における事前承認申請義務等です。

    ③「事故扱い」の対応(投票表30番)
    自主回収期間の支払期日では First unpaid 通知によりバイヤーからの支払不能を判断した場合には自主回収期間にメドを付けた回収委任に連動する「支払遅延扱い」とし、債権回収会社による「回収措置や可能な場合の法的措置」を実施します。そこでは、セラーはその回収費用に関して「支払遅延通知日」に債権回収会社への回収委任と共に「ワンストップ扱い」で費用負担に応じても待機期間の終了日を所定の要件(必要書類の提出や諸規定の順守条件)のもとで事故発生日とし、その日は保険会社履行時点の出発点になり、未収債権を含めた受取保険金に期待できます。

  • 3.与信枠や与信設定額はどうなりますか?

    (1)「最新の財務データ」の非開示企業への働きかけ

    公的保険

    「損失額の上限」は実際の輸出契約額から「保険価額」をとらえます。(バイヤーの「最新の財務データ」と無関係のもの)

    (注)カウントダウン表のトップバイヤーに係る2段(公的保険の場合)の3列目(船前の保険価額) & 4列目(船後の保険価額)をご覧ください。

    そこでは、船前保険価額はFOB価格(2375万円)及び船後保険価額は支払期日の「決済されるべき額」(2500万円)とし輸出契約額からとらえます。(売上高管理)

    船前保険価額は船積不能額、船後保険価額は代金回収不能額のそれぞれの上限とし、輸出契約等に係る未回収額のてん補を期待します。

    そこでは、「最新の財務データ」は船後信用危険を希望する場合に与信枠(=支払限度額)の設定時に要件になることがあります。それは、「損失額の上限」でなく「支払い保険金の上限」を左右するものです。

    その場合、過去に輸出実績額がなく、「最新の財務データ」の非開示先に対して信用調査を手配する際は、当該バイヤーに対して根回し信用調査機関からのインタビューのときに「財務データ」を開示してほしいことを働きかけるところがあります。

    ①非開示企業への働きかけ(投票表37番)
    非開示バイヤーではバイヤーにより公認会計士等に監査して貰った「最新の財務データ」をセラーが入手しそれを保険会社に提供します。信用調査報告書の入手はセラーが通常信用調査報告書を手配し、それに記載される「最新の財務データ」は1年6月以内に決算期が到来するものであり2期連続したものです。

    ②損失額の上限額(投票表38番)
    「損失額の上限額」はセラー自身が輸出契約等の貨物代金額を所定の帳票に転記した保険価額です。そこでは、期中において輸出契約額に値増金(包括系②の場合は10%以上)を加えたときは保険価額の「増額変更」とした「内変扱い」を手配したり(包括系②)、又はその値増金が「内変扱い」の要件にしていない該当額(個別系や包括系①を含む)では「内入れ扱い」を手配したりします。それはセラーの口座に事前着金を仕向けることにより取引単位での損失額計算時点において未回収額が損失額の上限をはみ出さないようにします。

    ③支払保険金の上限額(投票表39番)
    「支払保険金の上限額」は①輸出契約等の貨物代金額とした保険価額×付保率=保険金額のほか、②バイヤー別に過去の輸出実績額(特約締結予定日等から17月前の12月分)による最高債権残高等とした希望額に保険会社評価でもって最高債権残高等×付保率=支払限度額(専用枠)を設定して貰うものです。そこでは、取引単位の「請求扱い」時点におけるてん補予定額≦保険金額という比較点検するほか、複数の「請求扱い」ではそれを累計したてん補予定額(累計額)≦専用枠という比較点検による支払限度額の範囲内の制約です。

    民的保険

    「損失額の上限」は将来における売買契約での最高債権残高等から与信のピークをとらえます。セラーはその後に保険会社により与信設定額を設定して貰います。

    (注)カウントダウン表のトップバイヤーに係る1段の3列目(最高債権残高) 最終列目(年間予想売上高)をご覧ください。

    そこでは、年間予想売上高が3億円とし、それを3億円=1億円(=2500万円×4本)×3回転のもとで分解し最高債権残高を見積ります。(債権残高管理)

    セラーはその1億円の最高債権残高について保険会社に申請し「最新の財務データ」により与信設定額を設定して貰います。(a)満額回答の場合は「良い」ですが、(b)「一部承諾」や(c)「拒絶」のときは、その理由を教えて貰います。

    通常、自社製品の有無を調べて製造費用の上限(例えば売買契約額の最大80%以内)若しくは他社製品からの前払金調達の上限(例えば売買契約額の最大40%以内)、又はセラーによる債権回収会社への委任義務に伴う回収費用の上限:例えばイニシアルコストとして対象バイヤーが破産状態の場合に事故債権の1.5%、その他の場合に4.5%(但し上限が約835000円、下限が約25000円)が想定されることがあります。

    それはトップバイヤーによる支払限度額が11社10億円の共通枠にしょうとするものですから「非常に困る」わけです。

    その場合、セラーはトップバイヤーとの商談時に過去のリレーション関係を「拠り所」にして「もしも与信取引をするのであれば必ず最新の財務データを開示してほしい」ことを強く働きかけます。

    そこでは、「最新の財務データ」の入手に際してバイヤーとの長年のリレーション関係をあてにするところがあります。

    ①非開示企業への働きかけ(投票表37番)
    非開示バイヤーでは長年のリレーション関係を「拠り所」にして最新の財務データの開示を働きかけます。信用調査報告書の入手はセラーが信用調査報告書を事前に手配することはありません。そこでは、保険会社がセラーからバイヤーの名称・住所・電話番号等の提供を受けたときは保険会社側のデータベースに検索し評価履歴が「無い」場合に信用調査の手配です。

    ②損失額の上限額(投票表38番)
    「損失額の上限額」は保険契約を締結するまでに前年度の会計データから参照した債権残高を備えるものとし、それに付随費用を含めた最高債権残高等に基づいて全バイヤーに対して与信力に照らした与信設定額を保険会社評価により設定して貰うものです。そこでは、その有効日から当該与信設定額をゴールとした年間予想売上高の範囲内とした与信取引を視野に入れるものとし、債権単位での損失額計算時点において正味債権額が与信設定額をはみ出さないようにします。

    ③支払保険金の上限額(投票表39番)
    「支払保険金の上限額」は保険契約を締結するまでにトップバイヤーにおける前年度の会計データから参照した債権残高を想定し、それに付随費用を加えた最高債権残高等に対して保険会社評価により与信設定額を設定して貰うこととし、そのトップバイヤー由来とした与信設定額×縮小てん補率=支払限度額(共通枠)を設定して貰うものです。そこでは、保険会社履行時点における全バイヤー用に係るてん補予定額≦共通枠という比較点検による「共通枠」の範囲内の制約です。

  • 4.支払限度額はどうなりますか?

    (1)トップバイヤーによる支払限度額の意義

    公的保険

    支払限度額は輸出契約額のもとで明らかにする (a)保険価額× 90%=保険金額にあたるもの、及び包括特約予定日等から遡る 17月前から12月間にわたる輸出実績額等から導く (b)最高債権残高等× 90%=支払限度額とした 2 類型があります。

    (注)カウントダウン表のトップバイヤーに係る 2 段(公的保険の場合)の 3 列目の下段(各船前信用保険金額)4列の下段(各船後信用保険金額)をご覧ください。 そして、同最終列下段(支払限度額)もご覧ください。

    (a )の保険金額は輸出契約額をとらえる保険価額から導くものであってセラーだけで対応できます。

    それが(b)の支払限度額では特定のバイヤー(トップバイヤーのこと)だけで設定するものではなく、信用危険をかけるプライベートバイヤーに対して過去の輸出実績額から所定の期間中における最高債権残高等を取り出して設定して貰います。

    その場合、保険会社は、総与信枠を設定しスポット用と継続的取引用に配分し、その範囲内でいわゆる「早い者勝ち」の論法で特約締結時等に設定して貰います。

    そして、継続的取引では専用枠の個別系(限度額設定型貿易保険)又は包括系(簡易通知型包括保険、企業総合保険)に配分します。

    そこでは、通常総与信枠=普通枠+専用枠(個別系、包括系)のもとで各使用状況により適宜調整されるところがあります。

    ①債権残高等のとらえ方(投票表46番)

    希望額はバイヤー別に過去の輸出実績額(特約締結予定日等から17月前の12月分)に係る最高債権残高等とし、保険会社評価により導かれる支払限度額に備えます。 輸出実績額が「無い」ときはセラーが当該バイヤーに係る信用調査報告書を手配するほか将来契約額からの希望額でもって支払限度額に備えます。

    (注)所定期間にわたる輸出実績額が「有る」場合は例えば輸出実績額に平均ユーザンス(分子:金額で重みをつけた加重平均値)と正味ユーザンス(分母;ダブりを除いたもの)による残高の想定です。

    ②支払限度額の考え方(投票表47番)

    支払限度額はバイヤー別に過去の最高債権残高等(特約締結予定日等から 17 月前の 12 月分の輸出実績額によるもの)から保険会社評価により設定して貰った最高債権残高等×付保率=支払限度額であり、それはバイヤー別の専用枠にあたり、バイヤー別由来としたものです。

    ③支払限度額の使われ方(投票表48番)

    支払限度額はバイヤー別に先行設定して貰った支払限度額(専用枠)のもとでそれをゴールとした年間予想売上高の範囲内で締結した輸出契約等の貨物代金額でもって保険対象額(=保険価額)に臨む「使い方」です。また、「付保扱い」時点では、(イ)個別系の自動成立案件(その支払限度額の残枠内)、及び(ロ)「希望扱い」の船前「包括系①」の遡及成立案件(船後支払限度額の半額、下限1,000万円)に係る保険料計算の基礎額とした使われ方です。更に、てん補額計算の時点では、適用為替相場(輸出契約等締結日と支払期日のいずれか円高)を考慮した取引都度の貨物代金額に係る未回収額の総額のてん補予定額を算定し、それが支払限度額(専用枠)の範囲内かどうかの使われ方です。

    民的保険

    支払限度額はトップバイヤーの与信設定額× 90%=9000 万円とした共通枠のもとにあります。

    (注)カウントダウン表のトップバイヤーに係る 3 段(民的保険の場合)の最終列目の(保険金請求可能日:総請求額-総回収額= 5000万円)&その下段(支払限度額;セラー単位 11 社用とした 5000 万円× 90% =4500 万円の残枠確保)をご覧ください。

    通常、ユーザンスの短い案件は最長決済期間をテコにして第2 グループの「事故扱い」が免れたり、第 3グループの「請求扱い」が免れたりするというベニフィットがでてきます。

    それは、第2 グループや第 3グループにとって保険料率等に影響を与えることは少ないと想定できます。そして、保険料率等に影響を与えるものとして残るのはトップバイヤーが考えられます。

    トップバイヤーは対象バイヤーのうちユーザンスが長く、かつ、与信力が大きいものですからその保険金の期待値でもって支払限度額とするわけです。

    結果的には、他のバイヤー分も含めて損害をてん補しようとしますから共通枠を意味しても「良い」と言えます。

    「事故扱い」後では、新約款により保険会社の管理下のもとで債権回収会社の債権回収が功を奏し「請求扱い」の寸前に 5000 万円を債権回収します。

    そこでは、5000 万円× 90%=4500 万円を支払限度額の残額に期待できるところがあります。

    ①債権残高等のとらえ方(投票表46番)

    希望額はバイヤー別に前年度の会計データから参照した債権残高を想定し、それに付随費用等を含めた最高債権残高等です。そこでは、「回収費用の上限額」(約835,000円)や「最長請求期間の見合う額」(引渡日から40日分)を加えると共に、オプション特約による「製造費用の上限額」(商品の対価分)や「購入費用とした前払金の上限額」(売買契約額の40%以内)を含めた額です。セラーはトップバイヤーの最高債権残高等でもって与信設定額を設定して貰います。それは結果的にはトップバイヤー由来とした与信設定額から導く支払限度額の備えです。

    ②支払限度額の考え方(投票表47番)

    支払限度額はトップバイヤーに対して前年度の会計データから参照した債権残高を想定し、それに付随費用等を含めた最高債権残高等でもって設定して貰った与信設定額×縮小てん補率=支払限度額であり、それは全バイヤー用の共通枠にあたり、トップバイヤー由来としたものです。そのときの与信設定額は「損失額の上限額」にあたり、トップバイヤーだけでなくバイヤー別に設定されるものです。

    ③支払限度額の使われ方(投票表48番)

    包括保険契約時点ではトップバイヤーに対して前年度の会計データから参照した債権残高を想定し、それに付随費用等を含めた最高債権残高等でもって設定して貰った与信設定額×縮小てん補率=支払限度額のもとで全バイヤー用の共通枠です。その場合、てん補予定額(=未収債権×縮小てん補率)はその共通枠の範囲内とした使われ方です。それに加えて「トップバイヤー由来」では支払限度額を年間保険料の整数倍にすることを想定し、結果的に年間予想保険料の目安を付け「易い」使われ方もあります。

  • 5.保険手続はどうなりますか?

    (1)待機期間の長短による回収のタイミング

    公的保険

    待機期間は支払期日から3月の固定です。

    (注)カウントダウン表のトップバイヤーに係る 2 段(公的保険の場合)の 2列目の事故扱い日(XX 年 3月16日、 4月13日、5月14日、6月13日の 4 本)、 及び 最終列の「請求扱い」とした(各支払期日+ 3 月:① XX年 4 月 30 日、 5 月 28日、 6月30 日、 7 月 30 日とした逐次請求のもの)をご覧ください。

    そこでは、「請求扱い」は支払期日から3 月です。それは、損失等発生通知日を中心にしてその前を支払期日+ 45 日、その後を損失等発生通知期限+45日に分解することができます。

    そして、その前半では「請求扱い」は通常「事故扱い」を前提としていますから請求できる余地がありません。

    しかし、後半では「事故扱い」後ですから事実上待機期間にあたると言えます。それは、 45 日ですから比較的短いものです。

    また、回収のタイミングにより帳票が必要になることがあります。例えば、「事故扱い」前の回収はセラーの勘定に入れるだけです。それが「事故扱い」後の回収は「入金通知」です。

    一方、トップバイヤーの回収は「事故扱い」後比較的待機期間が短いもの(事実上 45日)ですから「請求扱い」後にズレこむところがあります。その場合、その帳票は保険金支払日から1月以内の「回収金通知」になるところがあります。

    ①待機期間の長短(投票表55番)

    待機期間が比較的「短い」ために「請求扱い」は比較的「早め」です。待機期間は事実上「事故扱い」時点から保険金請求可能日までの期間です。そこでは、セラーが保険会社に回収主体者をシフトする日までを含めたセラーによる損失防止軽減義務を履行する期間です。

    ②待機期間の回収行為者(投票表56番)

    回収主体者を保険会社にシフトしない段階では、セラーが回収主体者です。その場合、保険会社から予め弁護士費用の負担申請を認めて貰いますと、それを保険会社の支払いに期待できます。

    ③待機期間の始終関係(投票表57番)

    待機期間の始点では「事故扱い」現在の損失発生額を明らかにします。そして、その終点では支払期日から3月の保険金請求可能日において回収成果を反映した損失額を明らかにします。その後は自主回収期間の延長線上での取立活動とし、バイヤー訪問やEメール送信等によりプレッシャーを与え続けるものです。

    民的保険

    待機期間は支払遅延通知日から標準150 日です。「事故扱い」に際してば標準 150 日⇒ 60 日まで短縮できますが、 90%の縮小てん補率は 1月当たり1%ダウンします。

    その場合、トップバイヤーに対する格付けのスコアが比較的高いか又は低いかどうかにより他のバイヤーとの同時事故の恐れに対応します。

    例えば、トップバイヤーの11 段階スコアが比較的高いときは待機期間の短縮を考慮し、そうでないときは考慮しないわけです。

    (注)カウントダウン表のトップバイヤーに係る 1 段の 4 列目(船積日: X 年 9年 20 日)、 及び 3 段(民的保険の場合)の 4列目の「事故扱い」とした(請求日+最長決済期間+最大 30 日以内: XX 年 4 月 16 日とし4本の未収債権を含む) 最終列の「請求扱い」とした(支払遅延通知期限+標準 150 日(待機期間): XX 年 9 月 13 日としその3日前に半額の回収金を反映し総請求額 1 億円-総回収額 5000 万円=正味債権 5000 万円にするもの)をご覧ください。

    そこでは、待機期間の起点は支払遅延通知日ですが通常船積日にあたる請求日から起算し、目安をつけることができます。

    具体的には、請求日+最長決済期間+最大30 日以内=支払遅延通知期限であって、「事故扱い」は事実上船積み後 210 日です。

    また、「請求扱い」(保険金請求可能日のこと)は船積み後210 日+標準 150日の待機期間=事実上船積み後 360 日です。

    その場合、トップバイヤーの回収は最長決済期間と待機期間をテコとして「請求扱い」前に該当し帳票は「入金通知」になるところがあります。

    ①待機期間の長短(投票表55番)

    待機期間が通常比較的「長い」ために「請求扱い」は比較的「遅め」です。待機期間は保険会社による保険金の支払いを猶予する期間と言えます。そこでは、「支払遅延扱い」時点より120日、90日、60日という縮小てん補率90%から短縮30日毎に1%引きで短縮ができます。

    ②待機期間の回収行為者(投票表56番)

    「支払遅延扱い」により回収主体者はセラーから委任された債権回収会社にシフトし、セラーに回収費用負担が義務付けられます。その場合、回収費用は受取保険金に期待できます。

    ③待機期間の始終関係(投票表57番)

    待機期間の始点では回収委任した債権回収会社からの回収費用を負担し「回収措置や可能な場合の法的措置」の実施が始まります。そこでは、セラーは回収費用を負担するほか保険会社からの依頼に応じ「債権&担保を証明する証拠書類」等の提出義務に応じます。そして、待機期間の終了日では例えば「単なる資金ショートの場合」に諸規定の順守条件のもとで待機期間の終了日は事故発生日とし、その日は保険会社履行時点の出発点です。

    (注)諸規定とは、例えば、①与信時の注意及び損失防止義務、②信用悪化情報を知った時点/支払遅延時点/支払遅延通知後の回収金受領時点の各通知義務、③報告期間中の売上高実績報告義務、④決済期間の延長時点における事前承認申請義務等を指すもの。

第2グループのカウントダウン表

保険期間(X年7月1日~XX年6月30日)

②第2グループ:3000万円の与信グループ(中国、香港、マレーシア、アラブ首長国連邦の各代理店)
契約締結日 支払条件 最高債権残高(最高契約残高) 船積日 支払期日 年間予想売上高
X年9月20日 月末締め3月後払い 3000万円(4000万円) X年11月20日、X年12月20日、 XX年1月20日 (ホ)XX年2月28日③、(ヘ)XX年3月31日、(ト)XX年4月30日 3000万円(=1000万円×3本)×4回×5社=6億円
公的保険の場合 各支払期日+最大45日以内 (損失等発生通知期限) 各FOB価格=船前の保険価額 (損失額の上限) 各支払期日に「決済されるべき額」=船後の保険価額 (損失額の上限) 各支払期日+3月(保険金請求可能日)
XX年4月13日、5月14日、6月13日 各1000万円 950万円 1000万円 XX年5月28日、XX年6月30日、XX年7月30日 各1000万円(通常請求時に権利行使等を委任)
↓信用危険のかからない格付けへダウン
XX年6月13日に「事故扱い」後の全額回収⇒入金通知
(セラーによる回収主体が功を奏したもの)
各船前の信用保険金額 (支払い保険金の上限) 各船後の信用保険金額 (支払い保険金の上限) 支払限度額
950万円×80%=760万円 1000万円×90%=900万円 (a)船前後の限度額設定型貿易保険 (3000万円+1000万円)×90%=3600万円 (b)船前の簡易通知型包括保険(c)(2700万円)×50%=1350万円 (c)船後の簡易通知型包括保険及び企業総合保険 3000万円×90%=2700万円
(注)保険料率算式のy= ax+b における a と b は非常危険の指数のもとで国別引受基準に係る国別カテゴリーの変更に反映するもの。
民的保険の場合 請求日(通常船積日=インボイス日) 請求日+最長決済期間 (不払いと見なす日) 請求日+最長決済期間+最大30日以内 (支払遅延通知期限) 支払遅延通知期限+標準150日(待機期間満了日) (保険金請求可能日)
X年11月20日 XX年5月18日④ XX年6月16日予定(3本の未収債権分の債権回収を委任)
3000万円
XX年11月13日(予定)⇒「事故扱い」&「請求扱い」が免れる
民的保険の最高債権残高=与信設定額(損失額の上限) 延長可能期間 XX年6月13日(全額回収)⇒「事故扱い」が免れる
(セラーによる回収主体が功を奏したもの)
↓継続的取引の続行
支払限度額(セラー単位:11社分)
3000万円 ③-④=80日 5000万円×90%=4500万円(残枠確保)
(注①)支払期日(2月28日)+60日=4月28日(60日原則)
(注②)保険契約の締結時に標準80%相当額の保険料を前払いし完結した保険契約のもとにあり、保険料の調整の余地がなくカントリーリスクの余波を受けた場合に「損失額の上限」の引き下げにあたる与信設定額の一律削減が想定されるもの。
  • 1.損失額はどうなりますか

    (2)継続的取引の保障

    公的保険

    「事故扱い」のタイミングは取引単位のもとで支払期日から最大45日以内です。

    (注)カウントダウン表の第2グループに係る2段(公的保険の場合)の2列目の「事故扱い」とした(各支払期日+最大45日以内:②XX年4月13日、5月14日、6月13日とした逐次通知のもの)&その下段の(信用危険のかからない格付けへダウン)をご覧ください。

    具体的には、3本の支払期日別に不払いのときは、(ホ)2月28日付けの未回収額はXX年4月13日付け、(へ)3月31日付けの未回収額はXX年5月14日付け、及び(ト)4月30日付けの未回収額はXX年6月13日付けでそれぞれ「事故扱い」とします。(逐次通知)

    そして、(ホ)の「事故扱い」により直ちに「信用危険のかからない格付け」ダウンを招きます。それは、継続的取引に係る与信取引を不可能にします。

    その後、XX年6月13日付けで1000万円の貨物代金3本に係る全額回収です。その場合、(a)当該バイヤーに対して「信用調査」を実施し、(b)入手した「信用調査報告書」の「最新の財務データ」により格付変更申請を行います。

    そして、(c)保険会社による格付変更から与信枠の復活を図って貰い、(d)継続的取引を復活できるところがあります。

    ①「事故扱い」の効果(投票表22番)
    信用「事故扱い」では海外商社名簿における与信管理区分<Excellent の E格は「優良企業」を示すもの(EE)、Ace の A格は「信用状態等の良好」を示すもの(EA)、Massive の M格は「信用残高大」を示すもの(EM)、Fair の F格は「保険引受に一定制限」を示すもの(EF)、Cautious の C格は「信用状態の不安」を示すもの(EC)>から事故管理区分<Remarks の R格は「債務不履行」を示すもの(ER)、Bankruptcy の B格は「破産、保険金支払い等」を示すもの(EB)>へのダウンです。信用「事故扱い」後では例えば事故管理区分の R格へのダウンに対して信用危険は「×扱い」であり非常危険は「〇扱い」ですから、信用状取引に転換し事実上非常危険頼みで保険をかけるかどうかです。

    ②「事故扱い」までの節目(投票表23番)
    節目はセラー側で3本です。そこでは、本HP(https://金川貿易保険.com)のカウントダウン試行表により「事故扱い」までの期間にわたってバイヤーに各節目別にプレッシャーを与えることができます。
    (注)3本の節目とは、(イ)支払期日の1週間前にセラーの口座への着金を促す日とした「事前連絡日」、(ロ)ユーザンスの終点で「事故発生日」を示す支払期日、(ハ)自主回収期間の終了時点において取引単位の貨物代金額の未回収額を明らかにする「事故扱い」です。それは「目で見る与信管理」に役立ちます。

    ③与信設定額等の復活申請(投票表24番)
    「事故扱い」で格付ダウンしたものを復活するには通常入金を確認した後に信用調査を実施し取得した「信用調査報告書」により保険会社に格付変更を申請します。そこでは、バイヤーの「最新の財務データ」は2期連続したものを揃えます。

    民的保険

    「事故扱い」のタイミングは債権単位のもとで最長決済期間から最大30日以内です。そこでは、最長決済期間の満了日を「不払いと見なす日」としてバイヤーに取立プレッシャーを与えます。

    (注)カウントダウン表の第2グループに係る3段(民的保険の場合)の4列目の(支払遅延通知期限:②XX年6月16日予定)の下段の(XX年6月13日の全額回収)をご覧ください。

    具体的には、3本の支払期日分に係る(ホ)2月28日、(へ)3月31日、(ト)4月30日について不払いと見なした後、それを節目にして3000万円(未収債権)のもとで強力に督促します。(一括取立)

    例えば、バイヤーの財務担当責任者に対しては、3000万円の総請求額についてXX年5月18日から最大30日以内に送金しなければ債権回収会社から取立が始まることとして強力にプレッシャーを与えます。

    そして、特に「XX年5月18日から最大30日以内(支払遅延通知期限)までの支払いを要請する」という内容証明書でもってその財務担当責任者あてに郵送します。

    その後、セラー側ではバイヤーから全額回収金の着金を確認する。( XX年6月13日の全額回収)

    そこでは、「事故扱い」が免れたことにより継続的取引の保障に寄与しているところがあります。

    ①「事故扱い」の効果(投票表22番)
    「支払遅延扱い」では与信設定額の撤回を招きますから継続的取引の中止です。そこでは、回収主体者を債権回収会社にシフトし保険金請求権の発生を最小限にとどめる措置の実施です。

    ②「事故扱い」までの節目(投票表23番)
    節目はセラー側で5本です。そこでは、本HP(https://金川貿易保険.com)のカウントダウン試行表に「請求日」と最長決済期間の「日数」を入力することによって「支払遅延通知期限」までにわたってバイヤーに各節目別にプレッシャーを与えるのに役立ちます。
    (注)5本の節目とは、(イ)支払期日の1週間前にセラーの口座への着金を促す日とした「事前連絡日」、(ロ)ユーザンスの終点を示す「支払期日」、(ハ)与信設定額の新たなる申請や増額申請時点において有効日を左右する基準日とする「支払期日+60日」、(二)保険会社により設定して貰った最長決済期間の満了日とした「不払いと見なす日」、(ホ)自主回収期間の終了時点において総請求額から総回収額を差し引いた正味債権を明らかにし、回収主体者シフトする「支払遅延扱い」です。
    そこでは、カウントダウン試行表でもって別途10バイヤーまでの「重なり案件」をシミュレーションし、同様に「目で見る与信管理」に期待できます。

    ③与信設定額等の復活申請(投票表24番)
    「支払遅延扱い」で与信設定額の撤回したものを復活するには、通常遅延案件を解消した後バイヤーの個別財務諸表だけでなく、親会社のものを考慮したり、バイヤーとのリレーション関係を「拠り所」にした担保条件を加えたりします。そこでは、例えば、親会社のpayment保証やオーナー社長の場合に個人保証を取り付けることがあります。

  • 2.自主回収期間はどうなりますか?

    (2)内容変更通知の効果

    公的保険

    自主回収期間中の内容変更は船積み後の保険料率計算から説明します。 y= ax+b のもとでa と b は信用危険や非常危険の指数にあたり、 x は (a)船積日から(b)支払期日までの日数を示し、ユーザンスの変更があった場合に保険料計算に反映します。

    (注)カウントダウン表の第 2 グループに係る1段の 4 列目(船積日)5 列目(支払期日)をご覧ください。

    支払期日と「事故扱い」までの間は最大45 日以内ですが、その期間中にバイヤーからの延期要請に応じますと、ユーザンス( Xの部分)の変更として保険会社あてに内容変更という通知義務が課されています。(通常個別系はオプション扱い)

    そこでは、簡易通知型包括保険における期日通知時のカテゴリー変更(例:31日~60日⇒61日~90日)や企業総合保険における支払期日の変更にそれぞれに応じた場合に追加保険料の負担を意味することがあります。

    また、内容変更の効果として内容変更の要因が信用危険に起因していると判断されたときは格付けがダウンし、通常信用危険がかからないものです。

    それは、「事故扱い」と同じ結果を招くおそれがあり、通常通りの与信取引が難しくなるところがあります。

    更に、限度額設定型貿易保険ではユーザンスによる保険料期間でなく支払限度額でもって保険料計算を想定しており、仮にセラー側が支払期日の変更に応じても内容変更が義務付けられないところがあります。

    ①内容変更通知の効果(投票表31番)
    内容変更の要因では例えば「単なる資金ショートの場合」は信用危険のかからない格付にダウンするほか、追加保険料の負担も想定されます。

    ②内容変更通知の要件(投票表32番)
    変更対象は輸出契約等に変更を加えたものです。例えば、「包括系②」に係る輸出契約額の10%以上の増額は「保険価額の変更」です。また、「包括系①」に係る決済カテゴリー間の変更を含めた「包括系②」に係る支払期日等の延長は保険期間の延長です。更には、「個別系」に係る仕向国の追加や「包括系①及び「包括系②」に係るバイヤーの変更等は「リスクの変更」です。

    (注)大口バイヤーや新規対象国の追加では他のバイヤーと同様に海外商社名簿への個別登録します。そして、「支払保険金の上限額」にあたる支払限度額(専用枠)は過去の輸出実績額の与信のピークから保険会社評価による個別設定です。

    ③内容変更に係る他の事故案件との関連(投票表33番)
    支払限度額の前提は同一バイヤーに係る専用枠の設定です。そこでは、枠不足を意識することは「無い」かもしれません。それは、例えば他のバイヤーとの「重なり案件」に対してその枠不足でなくバイヤーからの延期要請に応じたときの「内変扱い」の効果から信用危険事由の場合に格付ダウン⇒継続的取引のストップに伴うステークホルダーを意識することがあります。

    民的保険

    延長可能期間中の内容変更は期日延長しても内容変更の通知義務が課されていません。

    (注)カウントダウン表の第 2 グループに係る 1 段の 5 列目(支払期日:(ホ) XX 年 2 月 28 日③) 及び 3段(民的保険の場合)の3列目(不払いと見なす日: XX 年5月 18 日④)&その下段の延長可能期間(③-④= 80日)をご覧ください。

    但し、延長可能期間等であっても特定3 バイヤーでは通知義務が課されています。具体的には、(a)延長可能期間を超えた期日延長の要請を受けたときのバイヤー、(b)与信設定額の撤回バイヤー、(c)債務不履行バイヤー(「事故扱い」バイヤーのこと)からの延長要請です。

    その場合、あらかじめ保険会社からの事前承認を得てからバイヤーに同意し、保険会社からのアドバイスや指示を期待できます。

    そして、延長可能期間後においてトップバイヤーの「事故扱い」後では、債権回収を委任している所定の債権回収会社に対してそのバイヤーからの回収見込みを打診し損失額の圧縮や全額回収の見込みの有無により他のバイヤーの延長要請を視野に入れるわけです。

    また、セラーがバイヤーからの延長要請に応じても与信設定額や追加保険料の負担に影響を与えることはありません。但し、保険対象国の追加やトップバイヤーを超える大口商談の出現に際しては異動承認申請書のもとで追加保険料の負担を左右することがあります。

    通常、所定の延長可能期間内における延長要請に対してはセラーのオプションのもとで自主対応できるところがあります。

    ①内容変更通知の効果(投票表31番)
    内容変更の要因では担保危険(非常危険、信用危険)別に与信期間の変更があっても対応に違いがありません。

    ②内容変更通知の要件(投票表32番)
    変更対象は既に「保険の対象となる債権」になっている(イ) 支払の猶予期間が「最長決済期間を超えるバイヤー」、(ロ)与信設定額の「撤回バイヤー」や(ハ) 「支払遅延扱い」という「債務不履行バイヤー」からの各延長要請という特定3案件だけです。そして、(二)大口バイヤーや(ホ)新規対象国のものは今後の「保険の対象となる債権」とした別途帳票(異動承認申請書)の手配です。

    (注)大口バイヤーの追加ではトップバイヤーの差し替えです。それは①全バイヤー用に係る支払限度額、②年間予想保険料の見直し、及び③新規対象国の追加というカントリーリスクの大小を含めたシミュレーションを視野に入れるものです。

    ③内容変更に係る他の事故案件との関連(投票表33番)
    支払限度額の前提は全ての対象バイヤーに係る共通枠の設定です。そこでは、セラーは他のバイヤーとの事故が重ならないように自主回収期間中に何とか他のバイヤーとの「重なり案件」の解消を図るために輸出契約等の変更(最長決済期間を超える延長要請等)につながることがあります。

  • 3.与信枠や与信設定額はどうなりますか?

    (2)カントリーリスクの余波を受けたときの対応

    公的保険

    カントリーリスクの余波は国別カテゴリーの変更により保険料率のアップという保険料の負担に反映することがあります。そこでは A から Hまでの8段階 (前5段階は無条件承認国、後ろ3段階は条件付引受国等)のもとでカテゴリー間の変更は保険料率に反映します

    (注)カウントダウン表の第2グループに係る2段(公的保険の場合)の最下段(保険料率算式のy= ax+b における a と b は非常危険の指数のもとで国別引受基準に係る国別カテゴリーの変更に反映するもの)をご覧ください。

    通常、カントリーリスクの余波として所定の「てん補事由」に該当するかどうかを点検します。

    そこでは、非常危険とした輸出契約等の当事者(セラーとバイヤーのこと)の責めに帰さないものです。

    例えば、①為替制限又は禁止、②輸入制限又は禁止、③外貨送金遅延、④現地通貨払いを有効にする立法措置等、⑤外国政府等による収用、⑥債務決済を妨げる違法又は差別的な措置等、⑦国際連盟等経済制裁等があります。

    その場合、与信枠は「最新の財務データ」でもって信用危険に対応し、国別引受基準は非常危険のもとで対応します。

    通常、国別引受基準は保険契約締結時(例えば、輸出契約締結後等の翌月の月末までに保険申込みする段階等)に適用されることがあります。そして、取引都度に保険をかける場合には輸出契約締結日と保険申込日というタイムラグがある場合にそれが変更されたときは保険料率を左右し、コスト計算に影響を与えることが想定できます。

    そこでは、国際入札案件という制約がありますが、変更前のカテゴリー適用申請により余波制限日から6月間のアローワンスを期待できるところがあります。

    また、国別引受基準の範囲内で商談を取り決めれば「良い」わけです。しかし、それをはみ出した場合は基準外案件のもとで保険会社あてに内諾申請し、内諾して貰った範囲内で商談に備えるところがあります。

    ①カントリーリスクの余波(投票表40番)

    カントリーリスクの余波は保険料率算式(y=ax+b)の a と b の指数により保険料率のアップに連動します。非常危険は本邦内の貿管令の発動を含めるほか、本邦外事由とした輸出契約等の当事者(セラーとバイヤーのこ と)の責めに帰さないものです。

    ②国別カテゴリー表(投票表41番)

    カントリーリスクの制約は条件付引受国(国別カテゴリー表8段階の後ろ3段階)として商談内容が「契約等の金額の上限」(例:20億円、10億円、5億円、1億円)、「ユーザンスの上限」(例:1年、6月)、「決済方法に係る条件」(例:ILC条件)に照らし適っていない場合に「内諾申請扱い」です。但し、国別カテゴリー表のHカテゴリー以外のFカテゴリー&Gカテゴリーでは (ⅰ)契約金額が1億円以内、及び(ⅱ)起算点からユーザンスが1年以内のものは 「みなし内諾」による当該申請は「不要扱い」です。

    (注)購入契約に係るサプライヤーからの販売リスクは販売先国の輸入措置(制限・禁止)は「〇扱い」ですが、それ以外のサプライヤー国側のカントリーリスク分は「×扱い」です。

    ③アローワンス期間(投票表42番)

    カントリーリスクの余波対策は国際入札案件に係る国別カテゴリー表の変更としたアローワンスの 6 月があり所定の帳票(変更前国カテゴリー適用申請書)でもって対応し、その延長も可能です。

    民的保険

    カントリーリスクの余波は国別カテゴリー 8段階(7段階目や8段階目は引受の謝絶国等)に反映することがあります。そこでは、与信設定額の一律削減のもとで「損失額の上限」が下方修正されることがあります。

    (注)カウントダウン表の第2グループに係る3段(民的保険の場合)の最下段(保険契約の締結時に標準80%相当額の保険料を前払いし完結した保険契約のもとにあり、保険料の調整の余地がなくカントリーリスクの余波を受けた場合に「損失額の上限」の引き下げにあたる与信設定額の一律削減が想定されるもの)をご覧ください。

    通常、カントリーリスクの余波として所定の「不てん補事由」に該当するかどうかを点検します。

    そこでは、①政治的危険、②自然災害、③核爆発等、④特定2国間の戦争(フランス共和国、中華人民共和国、ロシア共和国、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、アメリカ合衆国)、⑤国内の政治的危険です。但し、①と②はセラーが追加てん補特約でもって付加できるところがあります。

    また、余波の制限日から 90 日の猶予期間の条項を付加するか、又は 3月のアローワンス特約のいずれかを選ぶことがあります。

    更には、過去の支払い振りについて優秀な支払い振りのペイメントレコードがあった場合に「保険会社による与信設定額の一律削減」の緩和を期待できるところがあります。

    ①カントリーリスクの余波(投票表40番)

    カントリーリスクの余波はバイヤーのスコア別に与信設定額の一律削減が実施されたにしても損害原因別の事故発生日(破産状態を含めた政治的危険や自然災害の場合は支払遅延通知日、例えば「単なる資金ショートの場合」は待機期間の終了日にあたるもの)までに減額相当額分について継続的取引先というリレーション関係を「拠り所」としたバイヤーに対して事前「内入れ」を仕向けられるかどうかです。そこでは、HP(https://金川貿易保険.com)の試行表によりてん補事由発生日から所定の事故発生日を想定し、事前にカウントダウンした日数にわたってその日までに減額相当分の解消を目指します。

    ②国別カテゴリー表(投票表41番)

    カントリーリスクの制約は国別カテゴリー表において企業の信用力を加味した非常危険に係る8段階表です。それは、A~Eまでですが、Aは4本に細分化(A-①、A-②、A-③、A-④)されており、全部で8段階です。後順位になるにつれてカントリーリスクが高まり、後ろ2段階は通常「謝絶国」です。

    (注)購入契約に係るサプライヤーとの支払条件が前払金(売買契約額の 40%以内)の場合に積出しができないことによりその前払金の返還不能に陥った場合はオプション特約による「〇扱い」です。

    ③アローワンス期間(投票表42番)

    カントリーリスクの余波対策は与信設定額の一律「削減又は撤回」としたアローワンスの 90 日(3 月)です。その場合、必要書類の提出や諸規定の順守条件のもとで損害原因別の事故発生日(支払遅延通知日又は待機期間終了日)において正味債権は減額後「与信設定額」と比較点検し、その正味債権は減額後「与信設定額」を限度額とする枠組みです。その比較点検のタイミングは「倒産状態の場合」に支払遅延通知日(=事故発生日)、又は「単なる資金のショートの場合」にその支払遅延通知の延長線上にある待機期間終了日(=事故発生日)です。それは損害原因別の各時点まで損失額の圧縮を視野に入れるものです。

  • 4.支払限度額はどうなりますか?

    (2)同時事故防止の意識の涵養

    公的保険

    通常、支払限度額は信用危険付保時に保険会社でのすり合わせを受けるものです。(専用枠)それができないときは非常危険付保だけです。そして、「事故扱い」は船積別の未回収額を明らかにします。

    (注)カウントダウン表の第 2 グループに係る 2 段(公的保険の場合)の2 列目の「事故扱い」とした(各支払期日+最大 45 日以内:② XX年 4月13日、 5 月 14 日、 6 月 13 日とした逐次通知のもの)、 又は 最終列目の「請求扱い」とした(保険金請求可能日:各支払期日+ 3月:②XX 年5月28 日予定、 6 月 30 日予定、 7 月 30 日予定とした逐次請求のもの) 及び 3段(民的保険の場合)の 4列目(支払遅延通知期限)の下段の(XX年 6月 13 日の全額回収)をご覧ください。

    例えば、第2グループでは(ホ)2 月 28 日付けの案件は XX 年 4 月 13 日の「事故扱い」⇒XX 年 5 月 28 日予定の「請求扱い」、 (へ)3 月31日付けの案件は XX 年5 月 14 日「事故扱い」⇒ 6 月 30 日予定の「請求扱い」、及び(ト) 4 月 30日付けの案件は XX 年 6月 13日の「事故扱い」⇒7月 30 日予定の「請求扱い」についてそれぞれシミュレーションします。(逐次通知や逐次請求)

    それは、トップバイヤーのシングル事故が先だっていますからダブル事故です。さらに、第 3グループの「事故扱い」が加わることによりトリプル事故に直面します。その場合、支払限度額が専用枠のもとで設定して貰いますと、セラーは「請求扱い」時にチェックを受けても事務的にすすめることができます。

    しかし、セラーはリザルトレーティング制度(利用実績が2年以上の場合に無事故割引・事故割増)を考慮した場合に損害率(収入保険料に対する支払保険金の割合)のUPを意識し、自主回収期間(支払期日~損失等発生通知日)⇒損失防止期間(損失等発生通知日~保険会社に権利行使等を委任する日)中におけるセラーの現地駐在員等による債権回収をあてにすることがあります。

    それが功を奏しXX年6月1 日付けでバイヤーから1000万円の貨物代金3本の回収につながることがあります。

    ①同時事故の頻度(投票表49番)

    同時事故は「事故扱い」や「請求扱い」の「早い」タイミングにより増大するかもしれません。そこでは、例えば、「単なる資金ショートの場合」は支払期日から45日以内の「事故扱い」や同様に「支払期日+3月」の保険金請求可能日を契機にした「請求扱い」は船前事故における転売処分の実損額を含めた必要書類の揃い方次第です。(HPのモデルケースではトリプル事故⇒ダブル保険金支払い)その場合、「請求扱い」後に回収主体者をシフトした保険会社の回収方策に基づいた債権回収を図り「回収金納付扱い」に期待します。

    ②「事故扱い」の遅速関係(投票表50番)

    「事故扱い」は First unpaid 通知次第により直ちに手配するか、それとも提出期限といっても支払期日から45 日以内とするかどうかはセラーのオプションです。First unpaid 通知によりリーガルアクションを実施することがあります。それに先立って保険会社に弁護士費用等を認めて貰うように手配しますと回収費用は保険会社の支払いに期待することができます。

    ③損害率の改善(投票表51番)

    「請求扱い」後に回収委任した保険会社の回収方策(セラー又はサービサーのいずれかのもの)に基づいた債権回収が奏効し「回収金納付扱い」によって損害率の改善につながります。そこでは、「請求扱い」後に委任した保険会社による回収方策に基づいた回収行為によるものがあります。

    民的保険

    支払限度額は「請求扱い」時にチェックを受けるものです。(共通枠)そして、「事故扱い」は最長決済期間での「不払いと見なす日」において総請求額の不払いの事実を明らかにします。

    (注)カウントダウン表の第 2 グループに係る 3 段(民的保険の場合)の 4列目の「事故扱い」とした(請求日+最長決済期間+最大 30 日以内:XX年6 月16 日予定:その 3 日前に全額の債権回収に成功し「事故扱い」が免れたもの)をご覧ください。

    例えば、第2 グループでは支払期日から 80 日後を「不払いと見なす日」とし、「事故扱い」はその日から最大 30日以内です。それは「事故扱い」の繰り下げを意味します。

    そこでは、トップバイヤーの「事故扱い」が2 月先行しており、それに第 2グループまで「事故扱い」にしますと支払限度額の残額がゼロとなり、第2グループをはじめ他の「請求扱い」ができないことを意味するわけです。そして、その情報は現地駐在員等との共有化を図り、事故防止に邁進します。(注意&事故防止義務の履行)

    その現地駐在員等の債権回収が効を奏した結果、第2グループの自主回収期間中においてバイヤーから 3000万円の回収金を受領します。

    そこでは、最長決済期間が要となる比較的長い自主回収期間をテコにした「事故扱い」の繰下げにより同時事故を防ぐところがあります。

    ①同時事故の頻度(投票表49番)

    同時事故は「支払遅延扱い」や「請求扱い」の「遅い」タイミングにより頻度が減少するかもしれません。セラーは5本の節目(事前連絡日/支払期日/支払期日+60日/不払いと見なす日/「支払遅延扱い」)別にプレッシャーを与えながら「支払遅延扱い」前の全額回収を目指します。それが間に合わない場合には回収委任した債権回収会社の「回収措置や可能な場合の法的措置」の実施でもって「同時事故案件」の解消を図ります。

    ②「事故扱い」の遅速関係(投票表50番)

    「支払遅延扱い」はFirst unpaid通知次第というわけでなく、「重なり案件」のシミュレーションで左右されることもあります。他のバイヤーの不払いの状況が明らかになった場合には、バイヤーの経営良化に期待し「支払遅延扱い」を別途繰り下げることも視野に入れることがあります。

    ③損害率の改善(投票表51番)

    「支払遅延扱い」後に回収委任した債権回収会社による債権回収が奏功し「入金通知扱い」によって損害率の改善につながります。そこでは、保険会社の管理にある債権回収会社の「回収措置や可能な場合の法的措置」によるものがあります。

  • 5.保険手続はどうなりますか?

    (2)自主回収期間の長短による節目の活用

    公的保険

    督促の節目頻度は自主回収期間が短いことから3 回です。

    (注)カウントダウン表の第 2 グループに係る1段の 5 列目(支払期日②XX 年 2 月 28 日、 3 月 31 日、 4 月 30 日の 3本)、 及び 2段(公的保険の場合)の「事故扱い」として 2 列目(各支払期日+最大 45 日以内:② XX 年 4 月13 日、 5 月 14 日、 6 月13日とした逐次通知のもの)をご覧ください。

    具体的には、(a) 支払期日の 1 週間前( XX 年 2 月 21 日、 3 月 24 日、 4 月23日)に事前連絡として「支払い準備したかどうか」を問い合わせし返事があるまで連絡し続ける日、(b)それと支払期日の当日 (XX 年 2 月 28日、3 月31日、 4 月 30 日)、そして (c)不払い状態が続きますと支払期日から最大 45 日以内の「事故扱い」日 (XX 年 4 月 13 日、 5 月14日、 6月 13 日)という 3 回が想定できます。(逐次督促)

    そこでは、バイヤーあての最終取立は(c )であって、それをターゲットにしてバイヤーに督促するところがあります。(債権保全義務の履行)

    ①取引都度の節目(投票表58番)

    節目は本HP(https://金川貿易保険.com)のカウントダウン試行表の利用による3本です。

    (注)3本の節目とは、(イ)支払期日の1週間前にセラーの口座への着金を促す日とした「事前連絡日」、(ロ)ユーザンスの終点で「事故発生日」を示す「支払期日」、及び(ハ)自主回収期間の終了時点において取引単位の貨物代金額の未回収額を明らかにする「事故扱い」です。

    そこでは、支払期日から45 日という比較的短い自主回収期間のもとで3本を節目とした「見える与信管理」に基づいた督促行為です。

    ②節目での取立態様(投票表59番)

    船前リスクでは非常危険事由の禁止措置による「輸出契約等」に対して保険会社から貨物の製造に関し指示を受けたときはそれに従います。そうでないときは、セラーによる「保険のかかっていない取引」と同様の注意による自主判断です。また、船後リスクでは契約別船積み別の逐次対応です。そこでは、First unpaid 通知によるリーガルアクションを考慮しないときは複数の船積みに対して各支払期日+45 日=船後損失等発生通知期限までの逐次「事故扱い」です。

    (注)3本の節目とは、(イ)支払期日の1週間前にセラーの口座への着金を促す日とした「事前連絡日」、(ロ)ユーザンスの終点で「事故発生日」を示す「支払期日」、及び(ハ)自主回収期間の終了時点において取引単位の貨物代金額の未回収額を明らかにする「事故扱い」です。

    それは3本の節目におけるセラーの口座への着金を促すものです。

    ③「事故扱い」までの所定の義務履行の対応(投票表60番)

    例えば、その履行メドは取引単位でのUnpaid通知を中心とした「請求扱い」時点における回収主体者シフトまでです。それは ①債権保全義務、②損失を受けるおそれのある告知義務、③他の保険契約の存在を知った時点/損失を受けるおそれが高まる事情発生時点/輸出契約等の変更時点に係る各通知義務、④指示や調査に応じる義務、⑤損失防止軽減義務等という各履行です。

    民的保険

    督促の節目頻度は自主回収期間が比較的長いものですから5 回です。

    (注)カウントダウン表の第 2 グループに係る 3 段(民的保険の場合)の 3列目の「不払いと見なす日」として(請求日+最長決済期間: XX 5月18日とし 3本の未収債権を含む)&最下段に特掲した 60 日原則<支払期日2 月 28 日)+ 60 日= 4 月 28 日>をご覧ください。

    具体的には、(a)事前連絡日 (XX 年 2 月 21 日)、 (b)支払期日の当日( XX 年 2 月 28 日)、(c)支払期日から 60 日(XX年 4月 28 日:与信設定額の有効日に影響を与えるもの)をターゲットにします。

    そして、(d)「請求日」から起算した最長決済期間 (XX5 月 18 日:「不払いと見なす日」)のもとで未収債権の 3000万円をとらえて督促します。

    最終的には、(e)その最長決済期間から 30 日以内の支払遅延通知期限(XX 年 6 月 16日予定)に向けてバイヤーに対して債権回収会社からの取立がはじまることを事前連絡することにより、最大限のプレッシャーをかけます。(一括督促)

    それはそれぞれの節目を利用した場合にバイヤーの意のままにさせないことにつながります。(注意&事故防止義務)

    そこでは、第 2 グループの「事故扱い」の寸前 (XX 年 6 月 13 日)にセラーによる債権回収が功を奏し同時事故の連鎖を防ぐところがあります。

    ①取引都度の節目(投票表58番)
    節目は本HP(https://金川貿易保険.com)のカウントダウン試行表の利用による5本です。
    (注)5本の節目とは、(イ)支払期日の1週間前にセラーの口座への着金を促す日とした「事前連絡日」、(ロ) ユーザンスの終点を示す「支払期日」、(ハ)与信設定額の新たなる申請や増額申請時点において有効日を左右する基準日とする「支払期日+60日」、(二)保険会社により設定して貰った最長決済期間の満了日とした「不払いと見なす日」、(ホ)自主回収期間の終了時点において総請求額から総回収額を差し引いた正味債権を明らかにし、回収主体者シフトする「支払遅延扱い」です。
    そこでは、例えば支払条件に反比例した比較的長い自主回収期間のもとで5本を節目とした「見える与信管理」に基づいた督促行為です。

    ②節目での取立態様(投票表59番)
    積出し前リスク(オプション特約)では政治的危険事由の禁止措置による売買契約に対して保険会社から「履行継続又は中断」の決定を受けた場合にそれに従います。また、積出し後リスクでは契約別船積み別の逐次取立、及び正味債権の一括取立の併存です。
    (注)5本の節目とは、(イ)支払期日の1週間前にセラーの口座への着金を促す日とした「事前連絡日」、(ロ) ユーザンスの終点を示す「支払期日」、(ハ)与信設定額の新たなる申請や増額申請時点において有効日を左右する基準日とする「支払期日+60日」、(二)保険会社により設定して貰った最長決済期間の満了日とした「不払いと見なす日」、(ホ)自主回収期間の終了時点において総請求額から総回収額を差し引いた正味債権を明らかにし、回収主体者シフトする「支払遅延扱い」です。
    それは5本の節目におけるセラーの口座への着金を促すものです。

    ③「事故扱い」までの所定の義務履行の対応(投票表60番)
    例えば、その履行メドは債権単位を中心とした「支払遅延扱い」時点における回収主体者シフトまでです。それは①与信時の注意及び損失防止義務、 ②信用悪化情報を知った時点/支払遅延時点/支払遅延通知後の回収金受領時点の各通知義務、③報告期間中の売上高実績報告義務、④決済期間の延長時点における事前承認申請義務等です。

第3グループのカウントダウン表

保険期間(X年7月1日~XX年6月30日)

③第3グループ:1000万円の与信グループ(タイ、フィリッピン、インドネシア、インド、メキシコの各代理店)
契約締結日 支払条件 最高債権残高(最高契約残高) 船積日 支払期日 年間予想売上高
X年11月20日 月末締め2月後払い 1000万円(1500万円) XX年1月20日、 XX年2月20日 (チ)XX年3月31日⑤、(リ)XX年4月30日 1000万円(=500万円×2本)×2回×5社=1億円
公的保険の場合 各支払期日+最大45日以内 (損失等発生通知期限) 各FOB価格=船前の保険価額 (損失額の上限) 各支払期日に「決済されるべき額」=船後の保険価額 (損失額の上限) 各支払期日+3月(保険金請求可能日)
XX年5月14日、6月13日 各500万円 475万円 500万円 XX年6月30日、XX年7月30日 各500万円(通常請求時に権利行使等を委任)
↓ 信用危険のかからない格付けへダウン
XX年1月10日に「請求扱い」後の全額回収⇒回収費用の負担申請
(保険会社の指示のもとで回収費用を負担し、功を奏したもの)
各船前の信用保険金額 (支払い保険金の上限) 各船後の信用保険金額 (支払い保険金の上限) 支払限度額
475万円×80%=380万円 500万円×90%=450万円 (a)船前後の限度型設定型貿易保険(1000万円+500万円)×90%=1350万円 (b)船前の簡易通知型包括保険 1000万円(下限) (c)船後の簡易通知型包括保険及び企業総合保険1000万円×90%=900万円
(注)y=ax+bにおける信用危険の指数aとbはバイヤーの格付評価基準と連動し、それが支払限度額の減額と撤回に反映するもの。例えば、プライベートバイヤーに対して(イ)減額の場合に①EE格&②EA格⇒③EM格&EF格のもとで更改時、(ロ)撤回の場合に①EE格&②EA格、③EM格&EF格⇒④EC格のもとで更改時、(ハ)撤回の場合に①EE格&②EA格、③EM格&EF格⇒⑤ER格&⑥EB格のもとで事実上即時の適用が想定されるもの。
民的保険の場合 請求日(通常船積日=インボイス日) 請求日+最長決済期間 (不払いと見なす日) 請求日+最長決済期間+最大30日以内 (支払遅延通知期限) 支払遅延通知期限+標準150日(待機期間満了日) (保険金請求可能日)
XX年1月20日 XX年7月18日⑥ XX年8月16日予定
(2本の未収債権分の債権回収を委任)
1000万円
XXX年1月13日(予定)⇒「請求扱い」が免れる
民的保険の最高債権残高=与信設定額(損失額の上限) 延長可能期間 ↓与信設定額の撤回
XXX年1月10日に「請求扱い」前の全額回収
(委任した債権回収会社が功を奏したもの)
支払限度額(セラー単位:11社分)
1000万円 ⑤-⑥=110日 5000万円×90%=4500万円(残枠維持)
(注①)支払期日(3月31日)+60日=5月29日(60日原則)
(注②)バイヤーの信用力が変化したことが判明した場合に与信設定額の減額・撤回が想定されるもの。
  • 1.損失額はどうなりますか

    (3)「請求扱い」前の全額回収

    公的保険

    「事故扱い」のタイミングは支払期日から最大45日以内です。そのまま45日も取立不能であったときは支払期日+3月後から「請求扱い」ができます。(請求期間は破産手続の開始決定等に対して支払期日から9月又は保険金請求可能日から6月間又は保険金請求可能日から6月間)

    (注)カウントダウン表の第3グループに係る2段(公的保険の場合)の最終列目の「請求扱い」とした(保険金請求可能日:③XX年6月30日、7月30日を逐次請求したもの)をご覧ください。

    そこでは、セラーが依頼したり又は保険会社に依頼されたりすることなく通常通りの「請求扱い」時に保険会社にバイヤーに対する権利行使等を委任した後、それが功を奏しXXX年1月10日付けで500万円の貨物代金2本に係る回収になります。(「請求扱い」後の回収)

    その場合、保険会社から指示があった場合にその指示内容の履行のために支出した費用について費用負担申請します。(年2回、保険金支払日の属する月及びその6月毎)

    そのときの回収費用は、①回収交渉のための出張費用、②弁護士を起用した場合の弁護士費用、③裁判を開始した場合の裁判費用等が想定できます。

    そして、委任を受けた保険会社がセラー側に請求できるのは(A)てん補割れ部分、(B)無付保部分、(C)無付保債権に係るそれぞれの該当費用(①~③)です。

    それらの回収費用を調整する場合には、保険会社による支払額(セラーが①~③を支出し保険会社がそれらを支払う額のこと)とセラーあての請求額(保険会社が①~③を負担しセラーにそれらを請求する額のこと)でもって両者を相殺し、精算するところがあります。

    ①請求期間の有無(投票表25番)
    非常危険事故や相手方の倒産事故の場合は支払期日から9月です。また、例えば「単なる資金ショートの場合」は「支払期日+3月」から6月です。書類の提出では既に完了した各手続き(申込み扱い、内容変更扱い、事故扱い)のときに「エビデンスレス扱い」のものに限定することなく必要書類の列挙方式です。それは、船前リスクに対して①損失額の確認書、②保険事故の確認書、③輸出契約等の成立日及び内容の確認書、④損失防止軽減義務履行の確認書等とし、船後リスクに対して⑤未決済の事実及び未決済額の確認書、⑥保険事故の確認書、⑦輸出契約等の成立日及び内容の確認書、⑧船積の事実及び内容の確認書、⑨損失防止軽減義務履行の確認書、⑩過去の取引状況の確認書等の想定です。

    ②「請求扱い」後の費用負担(投票表26番)
    保険対象貨物の転売費用は保険価額から輸出不能貨物の転売価額(正味)を控除するやり方です。(取得金額の範囲内)また、例えば損失防止軽減費用は保険会社から事前に認められた弁護士費用等です。更に、保険会社へのシフト後の費用は例えば「請求扱い」時点において保険会社にバイヤーに係る権利行使等を委任した後にその指示を受けた回収行為により発生した回収費用です。セラーが負担した回収費用と保険会社が支出した回収費用が双方に発生している場合にそれぞれの負担金額をとらえた「相殺扱い」を想定し、相殺後の差額について保険会社による支払に期待できます。

    ③「請求扱い」前後における回収ベニフィット(投票表27番)
    「請求扱い」前でなく、「請求扱い」後の回収の場合ではセラー側でのベニフィットを考慮した回収金から取得した額を上限額とした控除利息に期待できることがあります。それは控除利息の利計期間とした支払期日から保険金支払日(又は回収金のいずれか早い日)です。また、利率は非常危険とした金利返済計画合意後の計画金利(その合意前は信用危険と同様)又は信用危険は財政融資資金からの借入金利(満期一括償還の5年以内のもの)です。

    民的保険

    「事故扱い」のタイミングは所定の最長決済期間から最大30日以内です。その場合、保険会社の管理下のもとで債権回収会社に依頼するときに所定の回収費用を負担し、債権回収が功を奏して「請求扱い」が免れることがあります。

    (注)カウントダウン表の第3グループに係る3段(民的保険の場合)の最終列目の「請求扱い」とした(保険金請求可能日:支払遅延通知期限+標準150日(待機期間満了日)のXXX年1月13日予定であったが、その3日前に全額回収により「請求扱い」が免れる)をご覧ください。

    そこでは、回収費用を「請求扱い」とします。その場合に適用されるレートでは倒産状態で1.5%、その他の事由で4.5%(但し、下限は約25000円、上限は約853000円)があります。

    その他の事由の第3グループに対して回収費用は1000万円×4.5%=450000円とし、それに縮小てん補率(標準90%)を乗じて405000円①をとらえます。それは、450000円-405000円=45000円②をセラーが負担することを意味します。そこでは、①と②を相殺するところがあります。

    また、第3グループの与信設定額がたとえ満額カバーでなくても(a)全額回収に該当していた場合、与信設定額の満額カバーとみなされます。通常適用される「てん補割合」による回収費用の調整を不要にするものです。

    例えば、与信設定額を1000万円⇒500万円と仮定したときは1/2という回収費用のもとで算定されます。そして、(1000万円×4.5%)×1/2×標準90%=202500円ですが、全額回収の場合は405000円のままです。

    また、「請求扱い」前の全額回収は所定の「優良契約戻し」の多寡に影響を与えます。それは(b)「戻し保険料」の算式において回収費用に係る保険金を「度外視扱い」とし、「戻し保険料」を左右するわけです。

    そこでは、「請求扱い」前の全額回収は(a)回収費用の「保険金」及び(b)「戻し保険料」の両方にベニフィットをもたらすところがあります。

    ①請求期間の有無(投票表25番)
    請求期間は概念として特にありません。通常、事故発生日の要件とする(イ)製造費用の損失額に係る保険会社との合意書、(ロ)倒産状態の証明書及び債権の届出書、(ハ)債権及び担保の証明書等に係る提出タイミングは損害原因別に支払遅延通知日との「同時提出扱い」、又はその支払遅延通知日の延長線上にある待機期間内における「事前提出扱い」です。保険会社からの依頼に応じた提出案件は(ニ)「債権回収に備える」だけでなく、(ホ)保険会社履行用「ポートフォリオとした備え」の想定です。その後は蓄積されるエビデンスはそのまま保険会社履行時点において役立つはずです。

    ②「請求扱い」前の費用負担(投票表26番)
    包括保険契約時点において定められている債権回収会社への債権回収の委任義務とセットになっている回収費用の負担額に対して受取保険金(通常 90%)に期待できます。そこでは、てん補割れ部分(Uncover10%)は回収費用の保険金(90%)との「相殺扱い」です。(通常 90%-10%=80%)

    ③「請求扱い」前後における回収ベニフィット(投票表27番)
    例えば、通常保険会社履行時点では回収費用に対する所定のてん補割合(分子は正味債権と与信設定額のいずれか低い額とし、分母は債権の額とする割合)を明らかにし、回収費用の受取保険金(=回収費用×てん補割合×縮小てん補率)をとらえます。そこでは、セラーや回収委任した債権回収会社が「請求扱い」前に全額回収が奏効した場合はてん補割合=1とし、回収費用に関して多めの受取保険金(=1-てん補割合)に期待できます。それに加えて保険料に係る優良契約戻しに対して所定の返還式〔負担保険料-(負担保険料× a%+回収費用の受取保険金)〕×b%=戻し保険料があります。そこでも、更新契約や最低保険料を下回らない限り、回収費用の受取保険金を未計上にした返還式とし、多めの戻し保険料=(負担保険料-負担保険料×a%)×b%に期待できます。

  • 2.自主回収期間はどうなりますか?

    (3)「事故扱い」の遅速オプション

    公的保険

    「事故扱い」の遅速は比較的に早めです。第3 グループは他の案件と同様に支払期日から最大 45日以内です。しかし、バイヤーの経営実態と財務状態に応じて「事故扱い」の繰下げとして延期要請に応じることがあります。

    (注)カウントダウン表の第 3 グループに係る 2 段(公的保険の場合)の2 列目の「事故扱い」とした「(各支払期日+最大 45日以内:③XX年 5月14日、 6 月 13 日とした逐次通知のもの)をご覧ください。

    例えば、一刻も早くリーガルアクションを実行するために (a)「事故扱い」とするか、又は経営良化の兆しを見出して(b)支払期日の延期要請に応じるかどうかがあります。

    そこでは、例えばFirst Unpaid通知に対してトップバイヤーとのダブル事故を意識することなく、債権保全義務の履行の一環としてタイムリーに(a)と(b)のいずれかを比較的早めに選ぶところがあります。

    ①First unpaid通知での対応(投票表34番)
    先ずは不払いの原因をとらえます。例えば、First unpaid 通知により早めの初期対応としたリーガルアクションを実施するか、それともバイヤーの経営良化に期待し「事故扱い」の提出期限に張り付けるかどうかという二者択一に迫られることがあります。

    ②複数事故での関連(投票表35番)
    損害率(分子は受取保険金、分母は負担保険料とする割合)は支払限度額が専用枠で早めの「請求扱い」の場合に受取保険金が増える傾向があり、それにつれて損害率が増えますから「回収金納付扱い」に期待します。

    ③自主回収期間中における取立活動(投票表36番)
    先ずは自主回収期間が支払期日から45日の短期間であることを意識します。例えば、本HP(https://金川貿易保険.com)のカウントダウン試行表に支払期日を入力することよりアト●●●日という損失等発生通知期限をとらえます。

    (注)3本の節目とは、(イ)支払期日の1週間前にセラーの口座への着金を促す日とした「事前連絡日」、(ロ)ユーザンスの終点で「事故発生日を示す「支期日」、(ハ)取引単位の貨物代金額の未回収額を明らかにする「事故扱い」です。

    そこでは、取立活動は適時にリーガルアクションとするかそれとも例えば3本の節目別に実施するかどうかを判断します。その後者を選んだときはカウントダウンの案件別に逐次的にセラーの口座にバイヤーからの着金を促します。

    民的保険

    「事故扱い」の遅速は比較的に遅めです。第3 グループは支払期日から最大 140 日以内です。

    通常、シングルバイヤーだけのときは、バイヤーの経営実態と財務状態に応じて「事故扱い」を繰り上げるか、又はその「事故扱い」の通知期限に張り付けるかどうかがあります。(遅速オプション)

    しかし、トップバイヤーとの同時多発事故のおそれがあるときは、「事故扱い」の通知期限に張り付けることによってセラーの回収主体者のもとで債権回収に邁進しようとします。(最大140日)

    (注)カウントダウン表の第 3 グループに係る 1 段の 5 列目(支払期日:(チ) XX 年 3 月 31 日⑤) 及び 3段(民的保険の場合)の3列目(不払いと見なす日: XX 年 7 月 18 日⑥)&その下段の延長可能期間(⑤-⑥= 110日)をご覧ください。

    しかし、第3 グループでは「事故扱い」の通知期限( XX 年 8 月 16 日)に張り付けても不払いが続く結果、トップバイヤーのシングル事故( XX年 4月16日)に加わり、ダブル事故に直面することがあります。

    その場合、新約款により保険会社の管理下のもとで債権回収会社に債権回収を「事故扱い」時に委任します。(回収主体者のシフト)

    その後、債権回収会社が第3 グループからの全額回収( XXX 年 1 月 10 日)に功を奏し「請求扱い」が免れることになります。

    そこでは、債権回収会社への回収主体者のシフトによりトップバイヤーとのダブル保険金の支払を免れるところがあります。

    ①First unpaid通知での対応(投票表34番)
    先ずは他のバイヤーとの「重なり案件」の有無を点検します。例えば、「重なり案件」が想定できるときは First unpaid 通知を受領しても「支払遅延扱い」の提出期限に張り付けることが視野に入ります。

    ②複数事故での関連(投票表35番)
    損害率(分子は受取保険金、分母は負担保険料とする割合)は更新時の保険料コスト等に影響を与えることがあります。それは遅めの「請求扱い」を期待し、「支払遅延扱い」後の待機期間中にわたる債権回収会社の「回収措置や可能な場合の法的措置」の実施次第による「重なり事故」の解消を図ります。そこでは、全バイヤー用に対する支払限度額の共通枠を支えるだけでなく、損害率を減らせる効果に期待します。

    ③自主回収期間中における取立活動(投票表36番)
    先ずは自主回収期間が支払期日から例えばホームページのモデルケースでは77日~140日の長期間であることを意識します。

    (注)5本の節目とは、(イ)支払期日の1週間前にセラーの口座への着金を促す日とした「事前連絡日」、(ロ)ユーザンスの終点を示す「支払期日」、(ハ)与信設定額の新たなる申請や増額申請時点において有効日を左右する基準日とする「支払期日+60日」、(二)保険会社により設定して貰った最長決済期間の満了日とした「不払いと見なす日」、(ホ)自主回収期間の終了時点において総請求額から総回収額を差し引いた正味債権を明らかにし、回収主体者シフトする「支払遅延扱い」です。

    その場合、取立活動は適時のリーガルアクションでない限り、カウントダウン試行表によるアト●●●日の節目別に自主回収期間の長短に応じたセラーの口座への着金を働きかけます。

  • 3.与信枠や与信設定額はどうなりますか?

    (3)期中における信用度の変化時の対応

    公的保険

    バイヤーの信用度の変化は保険会社の更新調査により保険期間の期中に格付変更を行ってもその期末まで変更前の格付けを維持し、更改時より適用することがあります。(限度額設定型貿易保険、簡易通知型包括保険、企業総合保険)

    (注)カウントダウン表の第3グループに係る2段(公的保険の場合)の最下段(y=ax+bにおける信用危険の指数aとbはバイヤーの格付評価基準と連動し、それが支払限度額の減額と撤回に反映するもの。例えば、プライベートバイヤーに対して(イ)減額の場合に①EE格&②EA格⇒③EM格&EF格のもとで更改時、(ロ)撤回の場合に①EE格&②EA格、③EM格&EF格⇒④EC格のもとで更改時、(ハ)撤回の場合に①EE格&②EA格、③EM格&EF格⇒⑤ER格&⑥EB格のもとで事実上即時の適用が想定されるもの)をご覧ください。

    そこでは、「事故扱い」によるER格の場合は与信枠の撤回にあたります。(信用危険付保×、非常危険付保〇を意味するもの)それが例えば倒産状態によるEB 格の場合は非常危険も含めて保険がかかりません。(信用危険付保×、非常危険付保×を意味するもの)

    そして、期中の信用力の変化は決算期が年に1回のもとで保険会社は毎年信用調査を実施し、バイヤーの信用度を見直し、格付け変更に伴って与信枠に反映するところがあります。

    例えば、与信枠の減額にあたり、当該年度と更改年度のそれぞれに保険事故が発生したときは両年度のいずれか多い方でもって信用危険のてん補を期待できるところがあります。

    ①バイヤー信用度の期中変化(投票表43番)

    例えば、民間企業の与信管理区分内において①与信枠「有り」の格付から更新時より与信枠「無し」のC格へのダウンです。そこでは、ExcellentのE 格で優良企業(EE)、AceのA 格で信用状態等の良好(EA)、MassiveのM 格で信用残高大(EM)、FairのF 格で保険引受の一定制限(EF)であり、これらは与信枠が「有る」ものです。しかし、CautiousのC 格で信用状態不安のもの(EC)は与信枠が「無い」ものです。また、②与信管理区分から「直ちに」事故管理区分への格付ダウンです。それはRemarksのR 格で債務不履行(ER)、BankruptcyのB 格で破産、保険金支払い等を示すもの(EB)です。①と②は支払限度額の撤回にあたります。

    ②民間バイヤーの格付(投票表44番)

    民間企業は 5 段階の格付のうち前 2 段階では名簿区分のEnterpriseとしたE格+「優良企業」を示すExcellentのE格= EE、及びE格+「信用状態等良好」を示すAceのA 格=EA でEE&EAに対して専用枠の支払限度額です。次の 2 段階ではE格+「信用残高大」を示すMassiveのM 格=EM、及びE格+「保険引受の一定制限」を示すFairのF 格=EFでEM&EFに対して 付保率(50%)や上限額(10 億円)ですが、保険会社評価次第による与信枠も視野に入れられるものです。そして、最終段階ではE格+「信用状態の不安」を示すCautiousのC格=ECに対して「ゼロ扱い」の想定です。

    ③不てん補格付の復活申請(投票表45番)

    不てん補格付の対応では別途信用調査報告書を手配し格付変更申請してもそれが間に合わないときは裸与信の保全策として前受金取引やILC取引への切り替えです。そこでは、支払限度額の撤回の場合は保険料の前払い案件に関して未経過期間に係る保険料の返還申請を手配します。保険の選び方により支払限度額の残枠内で保険をかける個別系では3万円以上の翌月以降分、そして、船後「包括系①」に係る支払限度額の半額、かつ、下限1,000万円で保険料計算基礎額とする「希望扱い」の船前包括系①では通算90日以上分です。

    民的保険

    信用度の変化は保険会社の更新調査により与信設定額の減額や撤回に反映することがあります。

    (注)カウントダウン表の第3グループに係る3段(民的保険の場合)の最下段(バイヤーの信用力が変化したことが判明した場合に与信設定額の減額・撤回が想定されるもの)をご覧ください。

    与信設定額の減額後では未収債権額≦減額後の与信設定額のもとで、その範囲内でもって損失額を明らかにし、それに縮小てん補率を乗じててん補責任額を導きます。

    そこでは、通常より不足する与信設定額に係る新規の引渡に際しては、与信取引の見直しで前受金取引にするか、又は信用状取引にします。

    与信設定額の減額や撤回には、猶予期間( 90 日)の条項を付加するか、又は特約対応( 3 月のアローワンス)のいずれかがあります。

    そして、減額の場合は事後審査ですが、撤回の場合は事前審査です。両方とも債権残高が求められます。(制限日から 15日以内:未出荷債権等の通知=現在の未収債権+予想出荷額)

    そこでは、カントリーリスクの余波と同様に過去のペイメントレコード等により緩和を期待できるところがあります。

    ①バイヤー信用度の期中変化(投票表43番)

    例えば、保険会社は民間企業に対して随時入手した信用調査報告書による信用力の変化を判断したときは与信設定額の減額や撤回です。セラーはその日から15日以内に未収債権を含む未出荷分について保険会社に出荷承認申請を手配します。(オプション特約)

    ②民間バイヤーの格付(投票表44番)

    民間企業はバイヤー評価とした@の数による1,000万円までの与信額の設定です。(例えば、@@@は 1,000万円、@@は 500 万円、@は 200 万円)また、1,000万円超では 11 段階のスコアとし全世界共通の尺度のもとで0から 10 までの 11 段階評価です。そこでは、格付評価には任意与信可能枠というセラーの審査力次第もあります。(例:小口の与信額かつ多数の取引先数)

    ③不てん補格付の復活申請(投票表45番)

    セラーは撤回バイヤーに係る未出荷分はその撤回理由を明らかにし、契約残を点検するほか、保険会社に対して出荷承認を働きかけます。(撤回日から 15 日以内)しかし、それが「難しい」ときは保険会社による販売予定額の 50%補填に期待します。

  • 4.支払限度額はどうなりますか?

    (3)支払限度額における残枠の維持

    公的保険

    支払限度額はバイヤー別の専用枠ですから、残枠があった場合に他のバイヤーに回すという概念がありません。

    (注)カウントダウン表の第 3 グループに係る 2段(公的保険の場合の最終列目の下段(支払限度額)をご覧ください。

    そこでは、(チ) XX 年 3 月 31 日付けの未回収額は XX 年 5 月 14 日付け、及び(リ)4 月 30 日付けの未回収額は XX 年6 月13日付けでそれぞれ「事故扱い」とし(逐次通知)、そして格付けダウンを招きます。

    それに先だって「事故扱い」になっているのはトップバイヤーと第2 グループの 2 バイヤーがありますから、トリプル事故です。

    セラーはトリプル事故の早期回収を目指し、比較的少ない節目(①事前連絡日、②支払期日、③「事故扱い」日)での効率的なプレッシャーが効を奏して第2 グループよりXX年6月13日に1000万円の貨物代金3本に係る回収を可能にします。

    その後、セラーは「請求扱い」と同時に保険会社にバイヤーに対する権利行使等を委任した後に回収主体者はセラーから保険会社にシフトします。その段階では、「セラーによる回収意向欄」の場合における具体的な方策(督促、調査、法的手続)が功を奏して第3グループよりXXX 年 1 月 10 日付けで 500万円の貨物代金2本に係る回収金を導きます。

    そして、セラーは(チ)と(リ)の2 本に係る支払い保険金の着金を確認した後回収金に係る保険会社帰属分を返還します。(保険金支払日から 1 月以内)

    そこでは、保険会社の指示のもとで回収費用を負担し、セラーによる債権回収が効を奏して500万円の貨物代金2本に係る回収金により支払限度額の残枠が生じますが、専用枠のために他のバイヤーを考慮しなくても「良い」ところがあります。

    ①支払限度額の消込み(投票表52番)

    消込みは専用枠の支払限度額から受取保険金を控除し、それに回収金の納付額を加えた支払可能額を算定し、同一バイヤーでの追加事故に備えます。比較的早めの「事故扱い」および「請求扱い」により保険金を受領した後に「回収金納付扱い」による支払可能額をとらえます。

    ②支払限度額残枠の管理(投票表53番)

    受取保険金後に回収金納付額が「ある」ときは、所定の算式により調整された「支払可能額」(=支払限度額-受取保険金+回収金納付額)の範囲内とした残枠の管理です。

    (注)船前包括系②では貨物代金額のFOB価額(=保険価額)から導かれた保険金額を限度額にする制約だけです。それ以外(個別系や「希望扱い」の船前を含めた「包括系①」および船後「包括系②」)では保険金額を限度額とし、かつ、複数「請求扱い」時点のてん補予定額(累計額)は支払限度額の範囲内という2本の制約を受けるものです。

    ③支払限度額残枠の維持(投票表54番)

    船積み案件が想定できない場合は空枠のままです。支払限度額(専用枠)の残枠は支払可能額を維持するために同一バイヤーに対して調整されます。

    (注)同一バイヤーに対する不払いがある場合に出荷が難しくなり空枠を視野に入れるものです。

    民的保険

    支払限度額はバイヤー別の専用枠でありませんから、対象バイヤーの共通枠のもとで残枠の維持が求められます。

    例えば、トップバイヤーは XX 年 4 月 16 日付けそしてその 4 月後に第 3 グループも XX 年 8 月 16日付けでそれぞれ「事故扱い」という同時事故に直面します。それは同時事故による支払限度額の不足を意味するものです。

    (注)カウントダウン表の第 3 グループに係る3段(民的保険の場合の最終列目の下段(支払限度額 5000万円× 90% =4500万円をあてるもの)をご覧ください。

    そこでは、トップバイヤーと第3 グループの両者は 4月間のズレがあるけれども、それぞれの「事故扱い」時に保険会社の管理下のもとで債権回収会社による債権回収を委任し、その回収行為に期待します。

    先ず、トップバイヤーでは債権回収会社によりXX 年 9 月 10 日付けで半額 5000 万円の債権回収が功を奏し、回収金 5000 万円×90%=4500万円相当額が復活して残枠を確保します。

    次に、第3 グループでは同様に債権回収会社により「請求扱い」の寸前に XXX 年 1 月 10 日付けで 1000 万円の債権回収も功を奏し、4500万円相当額の支払限度額の残額の維持に成功します。

    それは、「事故扱い」と同時に債権回収会社に債権回収を委任したことにより、半額回収(トップバイヤー)と全額回収(第 3グループ)が功を奏しており、同時事故の解消と支払限度額における残枠の維持に寄与するところがあります。

    ①支払限度額の消込み(投票表52番)

    消込みは共通枠の支払限度額から受取保険金を控除して算定し、他のバイヤーに備えます。短いユーザンス案件等に対して比較的遅めの「支払遅延扱い」及び「請求扱い」としそれぞれの事前決済による保険金請求権の発生を防止し、支払限度額に反映しないようにします。

    ②支払限度額残枠の管理(投票表53番)

    支払限度額では全バイヤー用の共通枠です。例えば、「倒産状態」に陥ったてん補予定額は積出し前リスク(オプション特約)と積出し後リスクの両方で算定した場合に後者の方が「優先扱い」です。そこでは、共通枠の支払限度額-その積出し後受取保険金=残額を積出し前リスク(オプション特約)やその他のバイヤーに備えます。

    ③支払限度額残枠の維持(投票表54番)

    全バイヤー用を対象とした支払限度額(共通枠)の残額の維持です。支払限度額の残枠は他のバイヤーの不払いを想定して通常「請求日+最長決済期間+30日=支払遅延通知期限」(保険会社で定めた期間)までに債権回収を図ることがあります。それが間に合わなければ「支払遅延扱い」後の債権回収会社の回収力に期待し、他のバイヤーの不払い債権に備えます。そこでは、債権回収に励むことにより残枠(=共通枠-受取保険金)を維持します。

  • 5.保険手続はどうなりますか?

    (3)回収主体者をシフトした後の回収方策

    公的保険

    セラーは「請求扱い」時までに事前に依頼したり、又は保険会社により依頼を受けたりしますが、通常「請求扱い」時に保険会社にバイヤーに対する権利行使等を委任します。

    (注)第3 グループに係るカウントダウン表の 2 段(公的保険の場合)の「請求扱い」として最終列目(各支払期日+ 3 月:③ XX 年 6 月 30日、7月30 日とした逐次請求のもの)をご覧ください。

    そこでは、保険会社に委任した後では、セラーが(イ)自主回収に応じたり、(ロ)輸出契約等の決済条件に変更を加えたりすることは避けなければなりません。

    しかし、それらは保険会社が必要と認めて指示されていた場合には問題になることはありません。

    そして、セラーはその委任時に保険契約の対象となる契約だけでなく無付保部分(例えば保険契約締結後に契約金額を増額(例えば10%以上)したにもかかわらず、オプションで増額変更手続きをしなかった部分)と無付保債権(同一バイヤーで例えば国別引受方針絡みで該当輸出契約等の債権に付保しなかったもの)も明らかにします。

    更には、所定の債権概要書に(ハ)債務者の明細だけでなく、(ニ)その支払い状況、(ホ)債務不履行の事由を明らかにし、回収方針として(a)「サービサー回収の希望欄」、と(b)保険会社からの指示のもとで「セラーによる回収意向欄」のいずれかを選びます。

    そこでは、第3グループに対して「セラーによる回収意向欄」を選らんだ場合にセラーは保険会社に対して「請求扱い」後に四半期毎に 1 回の報告が必要です。(2年後は1年当たり1回の頻度)そして、XXX年1月10日付けで500万円の貨物代金2本に係る全額回収金を受領し保険金支払後1月以内の回収金通知でもってFinalにできるところがあります。

    ①回収主体者シフト後の対応(投票表61番)
    通常「請求扱い」時点より保険会社が回収主体者として策定した回収方策です。セラーの立場は保険会社の回収方策として(a)セラーによる回収の意向に沿うものと(b)サービサー回収希望のいずれかのうち(a)を希望した場合は保険会社の指示に基づいた従来通りのセラー取立が続きます。

    ②回収費用のセラー負担(投票表62番)
    通常船前リスクでは保険事故が確定した後に手元にある事故貨物を処分したときはその処分費用を差し引いた正味金額(取得金額の範囲内)で実損額を計算します。
    また、船後リスクでは保険会社に回収主体者としてシフトしていない段階において事前に認められていない限り法的費用等は保険対象外です。一方、そのシフト後では保険会社からの指示に基づいた負担である限り保険対象です。そこでは、回収費用は所定の帳票(回収費用負担申請書)により通常6月毎の申請です。

    ③回収協力義務等の報告(投票表63番)
    報告義務の履行では保険会社の回収方策に協力したときのものです。また、変更情報の提供はバイヤーの財産に対して例えばリーガルアクション等が別途加えられた場合にそれを報告するものです。

    民的保険

    セラーは「事故扱い」時に新約款により保険会社の管理下のもとで債権回収会社に債権回収を委任します。

    (注)第3 グループに係るカウントダウン表の 3 段(民的保険の場合)の 4列目の「事故扱い」(請求日+最長決済期間+最大 30 日以内: XX年 8月16日とし 2 本の未収債権を含む)をご覧ください。

    そこでは、債権回収会社に委任した後では、セラーが(イ)自主回収を引き受けたり、(ロ)所定の債権回収会社以外の第三者に債権回収を指示することは避けなければなりません。

    しかし、それらは保険会社から事前に同意書を取り付けていた場合には問題になることはありません。(事前同意の原則)

    通常、支払期日から支払遅延通知日までの間の回収主体者はセラーであり、支払遅延通知日以降は所定の債権回収会社が回収主体者です。

    具体的には、セラーの名義のもとで債権回収会社に対して債権回収を依頼します。

    先ずは、どんな(ハ)「回収措置」を講じるか、又は可能な場合に(ニ)「法的な回収措置」を講じたときの回収見込みがどうであるかについて協議をはじめます。

    通常、債権回収会社はセラー自身による自主回収方法を引き継ぐことからはじまりますからセラーは回収業務から解放できるところがあります。

    ①回収主体者シフト後の対応(投票表61番)
    「支払遅延扱い」時点より債権回収会社が保険会社の管理下において実施する「回収措置や可能な場合の法的措置」です。セラーの立場は保険会社から事前の同意がない限りバイヤーに対する連絡も不可ですから保険事故により失ったマーケットの回復や新規バイヤーの発掘に専念できます。

    ②回収費用のセラー負担(投票表62番)
    回収費用の負担では積出し前リスク(オプション特約)では費用項目と収入項目における差額計算による実損額です。 また、積出し後リスクでは債権回収会社の回収費用に関して定率負担です。また、法的措置を実施したときのランニングコストは別途事前に契約でもって定められるものです。そこでは、回収費用は債権回収会社からの請求書(定率や上限・下限があるもの)のコピーでもって随時申請です。

    ③回収協力義務等の報告(投票表63番)
    報告義務の履行では保険会社からの事前同意を得てはじめて債権回収会社に直接連絡するものですから報告義務の概念はありません。