10.保険手続

金川貿易保険事務所

10.どのように保険手続きを行いますか?

貸倒リスクの多寡を考慮する場合

例えば、ユーザンス180日以内の継続的取引に対し、貸倒リスクの多寡を考慮して保険をかけることができますか・・・?
例えば、与信取引のすべてのバイヤーに対して付保するかどうかを明らかにし、保険をかけたい案件やかけたくない案件のそれぞれに共通項を見出すようにします。
その共通項でもって包括の定義づけにするのですか・・・?
そうです。そういうやり方で対象バイヤーを明らかにすることができます。

カントリーリスクを考慮する場合

例えば、ユーザンス180日超のプロジェクト案件に対し、事業参加していますと収益面等をとらえることができます。しかし、カントリーリスクはどうしょうもありませんが・・・?
現地国政府の保証等を入手できた場合、プロジェクトの着工時、完工時、販売時のそれぞれの節目に当該国政府に働きかけることができるかもしれません。
現地国政府の保証を取り付けることによって当該現地国政府等を巻き込むようにトライしてみます。
現地国政府の保証等がありますと、保険料率の水準は低めになるかもしれません。

決済期間延長承認請求時に
該当取引の内容を明らかにする場合

エクセルにより積出し時にバイヤーに対する該当取引の内容を入力しても、売上高のデータを報告するだけですが、決済期間延長承認請求時はどうなりますか・・・?
バイヤーから延長要請を受けて決済期間延長承認請求しますと、該当取引とのヒモ付きを明らかにしなければなりません。
具体的にはどういう内容ですか。
それは、支払計画案により(A)債権残高をはじめとして(B)最も古い請求日、(C)最も古い支払期日等です。

支払遅延通知時に
該当取引の内容を明らかにする場合

エクセルにより積出し時にバイヤーに対する該当取引の内容を入力しても、売上高のデータを報告するだけですが、支払遅延通知時はどうなりますか?
保険事故が起こり、支払遅延を通知しますと、該当取引とのヒモ付きを明らかにしなければなりません。
具体的にはどういう内容ですか。
それは、未決済の理由、例えば単なる支払遅延の場合であっても一括保険事故案件とし、事故対象請求書情報と回収金情報から明らかにした未収債権額等です。

第10番のシナリオ群では、保険手続きに先立って貸倒リスクの多寡を考慮して包括定義作りというグルーピングを行ったり、またはカントリーリスクを考慮して現地国政府等の保証を取り付けたりすることを紹介しております。
また、留意事項としては、包括契約時では1年間の予想売上高という将来取引に対して保険をかけたり、保険関係成立時では、実際の取引内容でなく、売上データだけを売上高報告したりしますが、実際の取引内容が明らかになるのは、決済期間延長承認請求時や支払遅延通知時の事象になってはじめてであり、それが全件照合を省略し、シンプルになっていることを紹介しております。

保険手続き
(1)質問書 告知書も兼ねるものであり、年間予想売上高(A)、トップ10バイヤー等の最高債権残高(B)及び前年度実績の最高債権残高等(C)を回答するものであって、予想保険料等を見積もるときのデータにあてられるもの。(更新時を除く。)
(2)保険申込書 セラーは、包括の定義にあるバイヤーリストの各クレジットリミットの希望額に対して設定してもらった額を確認し、最低保険料を支払い、同時に保険申込書を提出し、包括契約を締結するもの。
(3)包括契約書
(4)売上高報告書 該当取引の明細を明らかにしないまま売上高のデータだけを四半期毎に報告するもの。
(注)以下(5)から(7)までは案件対応ですから、通常は(4)の売上高報告書のみ。
(5)決済期間延長承認請求書 該当取引の明細をはじめて明らかにし、(A)決済期間延長承認請求時に支払計画案(決済期間別の金額のこと。)、(B)支払遅延通知時に未収債権額、(C)待機期間満了時(≒保険金請求時)に正味債権額をそれぞれとらえるもの。
また、保険金請求時では当該正味債権額とクレジットリミットと比較し、いずれか少ない方にするもの。
さらに、保険金支払時では、保険金支払予定額と支払い限度額と比較し、いずれか少ない方にするもの。
(6)支払遅延通知書
(7)保険金請求書